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『燃ゆる女の肖像』(2019)

『燃ゆる女の肖像』(2019)_e0033570_18342777.jpg画家のマリアンヌは伯爵夫人から娘の見合い用の肖像画作成の依頼を受け、孤島の屋敷へとやってきた。
だが依頼主の娘エロイーズは結婚を拒み、前任者も絵を完成させることが出来なかった。
画家であることを隠しエロイーズに近づき親しくなる一方で、密かに肖像画を完成させたマリアンヌだったが、それを引き渡す前に本人へ真相を打ち明けることにする。
真実を知ったエロイーズは「これは自分ではない」と言い放ち、またマリアンヌ自身も一度は描き上げた絵に納得出来ずに自ら破棄を決意する。
伯爵夫人が機嫌を損ねる中、意外にもエロイーズは自らモデルになることを申し出、マリアンヌと一対一で向き合うことになる。
やがて何度も語り合ううちに二人はお互いを理愛し合い、そして恋に落ちるのだが…。

マリアンヌの回想という形で語られる物語で、脚本・監督はセリーヌ・シアマ。
出演はアデル・エネル、ノエミ・メルラン、ヴァレリア・ゴリノ、ルアナ・バイラミ。
モデルと画家との真剣勝負ということで「美しき諍い女」を少し思いだしたが、この物語には主人公となる二人、メイドのソフィ、それにエロイーズの母親と基本的には女性しか出てこないため、趣は相当異なるものになっている。

二人の女性のバックボーンは詳しくは語られない。
エロイーズは姉の突然の死(おそらく自殺)により、修道院から急遽(結婚のために)呼び戻されたこと。
マリアンヌは画家である父の影響で絵筆を執っていること、それぐらいである。
画面外にはマリアンヌの父やエロイーズの結婚相手、更にソフィを妊娠させた相手(途中で妊娠していることが発覚したソフィが堕胎するシーンがある)などがいるはずだが、名前すら口にされない。

何もかも対照的なマリアンヌとエロイーズなのだが、彼女たちは互いの中に何を見出したのだろうか。
マリアンヌがエロイーズの癖を言い当て、「画家は常にモデルを観察している」と言ったのに対し、エロイーズもまたマリアンヌの癖を指摘し、「モデルも画家を見ているものだ」と言ったとき、二人は対等の存在になったのかもしれない。

序盤からマリアンヌの全裸シーンがあって度胆を抜かれたが、後半に入ると糸を引く口づけに始まってマリアンヌとエロイーズの(直接的描写は少ないものの)濃厚な絡みがふんだんにあり、見ているだけでクラクラしてくる。
そして一別の後のラストシーン。
二人は現実には結ばれることはなかったが、心の底では常に繋がっていたとわかる場面は、それまで以上に官能的なものとなっていた。


by odin2099 | 2021-09-15 18:35 |  映画感想<マ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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