『NETFLIX コンテンツ帝国の野望/GAFAを超える最強IT企業』 ジーナ・キーティング
2021年 09月 23日

登場してくる人物が多いが彼らに共感出来る部分は殆どなく、アメリカの商習慣については無知の為にイメージが掴みづらかったりで何度も挫折しかけ、本当に読むのに苦労した。
本書で描かれているのは、時期的には1997年のネットフリックス創業から、2012年のオリジナルドラマの製作開始に至るまでの間。
翻訳が出たのは2019年6月なので、巻頭に2012年以降18年までのネットフリックスの歩みが、特別寄稿という形でまとめられている。
自分なんかはネットフリックスというと映画やドラマの配信サービス会社というイメージが強いのだが、ここに描かれているのは店頭でのビデオレンタル業界の牙城を如何にして崩し、郵便による宅配レンタルを根付かせようとするかで奮闘するパイオニアたちの姿。
どちらかというとライバルであり、最強のビデオレンタルチェーンであったブロックバスターの崩壊がメインのようにも感じられた。
それにしても映画版もそうだったのだが、ネットフリックス社側で取材に応じたのは今は会社を追われた創業メンバーばかりで、トップに立つ創業メンバーの生き残りや現在の経営の中枢に関わっている人物は皆無。
何やら闇を感じさせる部分で、それがある故に単純なサクセスストーリーにはなり得ていないあたりに妙なリアリティのあるノンフィクションだ。