『透明人間』(2020)
2021年 09月 24日

弁護士であるエイドリアンの兄トムの話によれば、莫大な遺産はセシリア宛に残されていた。
だがセシリアは時折何者かの気配を感じたり、物が動かされたりしているのに気づき、エイドリアンは生きていると確信していた。
だが周囲は彼女を精神に異常をきたしたとみなし、次第に彼女は追い詰められてゆく。
脚本・監督リー・ワネル、出演エリザベス・モス、オリヴァー・ジャクソン=コーエン、オルディス・ホッジ、マイケル・ドーマン、ハリエット・ダイアーらによるH・G・ウェルズの「透明人間」の映画化、及びユニバーサル・ホラーの古典「透明人間」のリメイク作品。
元々は「フランケンシュタインの花嫁」、「大アマゾンの半魚人」、「ヴァン・ヘルシング」、「狼男」、「フランケンシュタイン」、「魔人ドラキュラ」、「オペラの怪人」、「ノートルダムのせむし男」らと共に、ジョニー・デップの主演で<ダーク・ユニバース>を構成する作品群の一つとして製作されるはずだったのだが、第一弾となる「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」の興行的失敗により、単独作品へと方向転換されたという経緯がある。
今回登場する透明人間は薬で透明になるのではなく、光学迷彩で見えなくさせるハイテクスーツを発明、装着した科学者で、ヒロインを徹底的に追い詰める変質狂のストーカー男。
劇中では台詞でさらっと流されているだけだが、相当のDV男でもあるらしい。
ヒロインもさほどの美人という訳でもなく、果たして透明人間は彼女のどこがそんなに気に入ったのか。
一応のエクスキューズとしては、彼女が彼の子を妊娠していたから(序盤から「彼は自分の子供を欲しがっていた」との台詞あり)というのが用意されているものの、それだけの理由だったのだろうか。
またヒロインが若くてセクシーな美女ではないせいか、本作にはエロ要素が皆無。
大体この手の作品だとヒロインの着替えや入浴を覗き見するシーンがあったり、彼女を襲おうとするシーンがあったりするもんだが、その手のサービスシーンはない(一応シャワーシーンはあるものの、そういう期待には全く応えてくれない)。
透明人間はスーツさえ着てれば誰でもなれるので、その正体は死んだと見せかけたエイドリアンだけでなく、兄のトムもグル。
いや全ての事件は弟に操られた兄の仕業なのかもしれないが(スーツは複数あるようだし)、いずれにせよ真犯人はスーツの発明者であるエイドリアンということになるだろう。
トムはセシリアとの会話で、昔から弟には恐怖感を抱いており、自分はいいように使われているだけだと心情を吐露していたが、それが本心なのか、それとも実際は端から兄弟で共謀していたのかはわからない。
また最後にセシリアと対峙した時のエイドリアンは、全て兄の仕業で自分は無関係だと主張していた。
食えない兄弟である。
ラストシーン、全てにケリをつけたセシリアは勝ち誇った笑みを浮かべて現場を後にするが、彼女の思い込みが強すぎるだけで、ひょっとすると真実は別のところにあるのかもとも思えてくる。
実際は単純なホラー映画、SF風味のミステリー・サスペンス物として作られているのかもしれないが、色々と深読みが出来るところもまた面白い。

【概略】 セシリアは天才科学者・エイドリアンの豪邸から逃げ出し、失意のエイドリアンは自殺する。彼の死を疑うセシリアは、「見えない何か」に襲われていることを証明しようとするが…。 製作年:2020年 製作国:アメリカ/オーストラリア 収録時間:124分 ジャンル:サスペンス・スリラー 日本語吹替:あり .5★★★☆☆ 透明といえば、ケヴィン・ベーコンの「インビジブル」が懐かしいな。あれ面白か...... more

◆『透明人間』ユナイテッドシネマ豊洲11 ▲「君のために取り寄せたよ」何かまた薬物でも入ってるのかと心配しちゃったよ。 ◆※ズバリは書かないが、ゆるやかにネタバレ気味っぽい表現あり。 五つ星評価で【★★★★こえー】 評判通りにたいへん面白かった。 こえーよ、あんなの。 ただ「不可視」というだけで、これだけの脅威になるとは。 まあでも、サーモビジョン持って来い、とか、視覚より嗅覚に生きる...... more


見えない誰かが追ってくる。 富豪のマッドサイエンティストでソシオパスの夫から妻が逃げ出したら、ハイテク透明人間になった夫に復讐される。 さすがリー・ワネル、ジャンル映画のツボを抑えつつ、未見性に満ちた見事な仕上がりだ。 原案はH・G・ウェルズの小説「透明人間」だが、1933年に公開された同名怪奇映画へのオマージュを捧げつつ、物語はモダンなオリジナル。 本作はもともとユニバーサル映画が目論ん...... more

いや、でも、別にケイト・モスの裸が見たい訳ではない。
あの映画、面白いの?
一応ストックしてはいるんだけど、なんかあんまりいい評判は聞かない…。
この映画は敢えてケイト・モスをヒロインに据えてるんでしょうなあ。
そういった要素というか、視線を排除するために。
これ、ターゲットが妹さんの方だったらもうちょっとエロくなったかもね。
あの刑事さんの娘だったら…これは違う意味でヤバいか。
