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『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)

**** ネタバレ注意! ****

イオンプロ製作の<ジェームズ・ボンド>シリーズ25作目で、6代目ダニエル・クレイグの5本目かつ最終作。
前々作でMを殺し、本作ではフェリックス・ライターを殺し、最後にはとうとうボンドまで…。

前作ラストでMI6を退職したボンドはマドレーヌと幸せなひと時を過ごしていたが、自分が狙われたことからマドレーヌがスペクターと繋がっているかもしれないとの疑念を払拭できず、彼女に別れを告げる。
そして5年後、ボンドの元を旧友でCIAのフェリックスが訪れ、誘拐された科学者の救出を依頼。
だが潜入先でスペクターの幹部が殺されていく様を目撃したことから、スペクターとは別の敵の存在に気付き、またMがこの一件に関わっているのではないかとの疑念を抱く。
そんな最中、ボンドはマドレーヌと再会することになる。

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)_e0033570_09483460.jpg面白いは面白かったけど164分は長すぎ。
それにボンドの娘を出すのはともかく、ボンドを死なせるとは思わなかった。
これで後腐れなくダニエル・クレイグを送り出せるけれども。

ボンドがマドレーヌを信用しきれないのはヴェスパーの一件があったからだが、それにしても短絡的過ぎるし、壮大な前振りの割にスペクターはあっけなく壊滅するし、プロフェルドも相変わらず思わせぶりな台詞を吐くだけで瞬殺。
サフィンとマドレーヌとの関係性も不透明で、あの後に二人の間には何もなかったのか、何故今になってのこのこ出て来たのかもよくわからん。

サフィンとボンドをいきなりライバル関係として描くのも無理がある。
元々この二人には接点がなかったのだから、いきなり対峙させても会話がチンプンカンプン。
ボンドはただ、マドレーヌにとっての”悪”だからサフィンと対決してるだけだ。

勿論一連の事件の黒幕だからという表向きの理由はあるが、これはボンドの個人的感情とは関係ない。
これがマドレーヌが以前から、あるいはボンドと別れた後からサフィンの庇護下にあり、マチルドが実はサフィンの娘だった、というような因縁でもあればストレートに繋がると思うのだが。
そういったお膳立て抜きでボンドとサフィンを対比させてみても、サフィンがただ内面も外面もアブナイ薄っぺらい奴に見えるだけだ(能面を使った演出も全く活かされてない)。

ボンドが映画の大半で組織に所属してない状態で、しかも新たに007を襲名したノーミという新キャラクターはいるわ、フリーの時はCIAに協力するわ、で色々とややこしい。
M、タナー、マネーペニー、Q(なんとLGBTキャラになってる!)とレギュラー総登場で常にバックアップ体制を取っているのだから、早い段階でMI6に復職させても良かったかも。

まあポリコレに配慮した結果「黒人で女性」というボンドのアンチテーゼに新「007」を名乗らせ「二人の007」を強調したかったのはわかるけど、ノーミは当初考えていたほどボンドに対抗意識は持っていないようだし(ボンドが復帰する際にしきりと「00…何番?」と気にする場面はあるが)、実は彼女が組織の裏切者で…というパターンも予想はしてたけれど、そこまで安直な設定ではなかったな。

最後は些か唐突なボンドの死。
ウサギのぬいぐるみを拾ったのはてっきり生還フラグかと思っていたのに、娘に手渡せなかったとはね。
でも最後の最後まで考えてた。
ラストシーンでマチルドの手元に何故かあのぬいぐるみが戻ってる、というシーンがあることを。
……なかったんだな、これが。

締めくくりはサッチモの歌。
全体的に「女王陛下の007」を意識した音楽構成になっていたが、本作はラブストーリーなんだよというファンに対する目配せなのかもしれん。
しかもこの歌が流れるとジーンとくるのは確か。
ズルい。

結局このクレイグ版「007」は、一人のエージェントが00ナンバーに昇格し、そして殉職するまでを描いたことになる。
その中で愛を知らなかった彼が愛を知り、手酷い裏切りにあって愛を見失い、再び愛を手に入れ、そして愛に殉じたということで綺麗にまとまった。
完結編に相応しい内容だとは思うものの、これが007=ジェームズ・ボンドの姿なのかと言われると、個人的には認めたくはない。

エンドロールの最後にはお約束の”JAMES BOND WILL RETURN”
次回作はレギュラー一掃で完全リブートになるのだろうか。
7代目ボンド探しは来年に入ってからとはプロデューサーの弁だが、来年は映画シリーズがスタートして60周年のアニバーサリーイヤー。
本作が予定通り昨年春に公開になっていたら、もしかするとその記念すべき年に新作が始動していたのかなと思うと残念ではある。

【ひとりごと】
2作続けて同じ役でボンドアクトレスとなったレア・セドゥもいいのだが、自分の推しは何といってもアナ・デ・アルマス
最初は”ドジっ娘”かなと思わせておいて、まさかまさかの実力派。
CIAエージェントとして見事にボンドをサポートし、エロかっこいいというかエロ可愛さは抜群。
出番が短すぎるのが欠点で、彼女を主役にしたスピンオフを作って欲しいくらいだ。


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タイトル : 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ユナイテッドシネマ豊..
◆『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』ユナイテッドシネマ豊洲10(ネタバレ) ▲ポスターだ。 ※ 記事内容にネタバレを含みます。 五つ星評価で【★★★おいおい】 「ノー・タイム・トゥ・ダイ」というタイトルなのであるが、「W」の悲劇かよ、というネタをネタバレできないツイッターで呟き損ねた。「ノー No」でなく「ナウ Now」かよって言うね。でもまあそこを除けば、シリーズの中では最良ではな...... more
Tracked from 或る日の出来事 at 2021-10-16 10:27
タイトル : 「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」
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Commented by ふじき78 at 2021-10-13 23:18 x
> 結局このクレイグ版「007」は、一人のエージェントが00ナンバーに昇格し、そして殉職するまでを描いたことになる。その中で愛を知らなかった彼が愛を知り、手酷い裏切りにあって愛を見失い、再び愛を手に入れ、そして愛に殉じたということで綺麗にまとまった。

最終的に、これは007がヅカで上演されるための一里塚ではないか?という疑念が湧き上がってしまった。「愛」と言えば宝塚よ。
Commented by odin2099 at 2021-10-14 09:17
> ふじき78さん

「ルパン三世」も「シティーハンター」も上演した宝塚だから「007」もあり得なくはないけど、はたして権利元がOK出すかな?
ミュージカル版、レビュー版の「007」という代物に…。
by odin2099 | 2021-10-03 09:57 |  映画感想<タ行> | Trackback(2) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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