『デューン/砂の惑星』(2021)
2021年 10月 16日
正直映画は何が何やらという感じではあるが、それでも「何か凄いものを見たぞ」という気持ちには包まれる。
それがこの作品だった。
その監督の意気込みや良し。
しかし世の中には続編を念頭に置いて作られながら、諸事情で実現しなかったプロジェクトは数多ある。
願わくばこの作品が、その末席に名を連ねることがなきことを。
それにしても事前にデビッド・リンチ監督版を見ておいて良かった。
それを見ていればこそ、舞台設定やキャラクターの相関関係、そして物語の構造に戸惑うことなく付いて行けた。
作品特有の用語には難儀したものの、それでも大意は掴めたと思っているのでおそらく支障はなかったろう。
それでも本音を言えば155分という上映時間は些か長すぎるのではないか。
原作愛読者からすればこれでも足りないというだろうが、デビッド・リンチ監督版のように140分で一本にまとめるのではなく前後編だ。
であれば120分前後が望ましいように愚考するのだが。
ともあれ公開は一年近く延期されたものの、ここまで見せられたのだ。
テレビシリーズでスピンオフを製作する企画も動いているようだが、一日も早く製作体制を整え続編の製作に取り掛かってもらいたい。
【ひとりごと】
ティモシー・シャラメという存在感のある美青年がポール役だからなのか、あるいは親子を演じるには若すぎ、かつセクシャルな魅力を保っている(敵側の兵士にも性的対象として見られている)レベッカ・ファーガソンがレディ・ジェシカに扮しているからなのか、この母と息子の逃避行のシーンには何やら危険な匂いを感じずにはいられなかった。
母の前で屈託なく着替えをする息子、それを見ながら躊躇いがちな母親…。
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だからなのか、ティモシー・シャラメが両性具有でも違和感ないと思う。