『ウルトラマンコスモス/THE FIRST CONTACT』
2021年 10月 18日
他の作品も考えたのですが、ニュース記事には判で押したように「バルタン星人の生みの親」という注釈が付いてましたので、バルタン星人といえばこれだろうと。

またウルトラシリーズどころか、日本のヒーロー史上屈指の名悪役バルタン星人。
ウルトラマンとは対を成す存在で、且つ地球人とは相容れない知的生命体は、不気味というより神秘的でさえあったのですが、この作品では相互理解が可能なレベルにまで、云わば貶められてしまっているのにも落胆しました。
そして必要以上に(と思えるほど)前面に押し出されている子供たち。
その子供たちを取り巻く無理解な大人、わかったふりをしている大人、子供の心を残したままの大人、ウルトラマンが架空の存在として認識されている世界…。
子供向け映画とは、ジュブナイルとはこういうものなんだろうなと思いつつも、どうしても居心地の悪さを最後まで払拭できませんでした。
飯島監督には是非とも、SFマインドに溢れた魅力的な侵略者としてのバルタン星人と、そのバルタン星人に知略を尽くして立ち向かう地球人、そして宇宙の破壊工作員たるバルタン星人を阻止するべく遣わされたウルトラマンとの死闘を大きなスケールで描いて欲しかったという願いも持っていたからなのですが、飯島監督の本質はこちらにあったのでしょう。
青みがかった半透明のウルトラマンの姿は美しいですし、冬木透の温かみのある音楽も良いですし、有名どころを集めたという点ではシリーズ屈指の豪華キャストな作品かなと思いますので決して嫌いな作品ではないのですが――
「シューベルトの子守唄」で寝付いてしまうバルタン星人は、少なくても自分が見たかったバルタン星人の姿ではありませんでした。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/10570935/