『陰陽師/水龍ノ巻』 夢枕獏
2021年 11月 04日
今回は全体的に源博雅が中心になっている話が多いように思います。
どうでしょう。
そろそろこの物語にも終わりが近づいてきたように思うのですが……。
今回一篇だけ、晴明も博雅も蘆屋道満ですら登場しない作品があります。
『秘帖・陰陽師 赤死病の仮面』という、エドガー・アラン・ポーの『赤き死の仮面』に材を採ったもので完全に別の世界を舞台にしています。
コロナ禍の昨今まことに臨場感あふれる作品となっているのですが、なればこそ巻頭もしくは巻末に、あくまでも『陰陽師』シリーズとは別物であると注釈をつけて収めて欲しかったところです。
あとがきに作品成立の経緯は記されているし、雑誌への掲載順にまとめてあるのはわかるのですが、従来のシリーズの中途にこの作品を挟むと、どうしても興味深さよりも違和感が先に立ってしまうもので。