『エターナルズ』(2021)
2021年 11月 07日
<マーベル・シネマティック・ユニバース>26作品目で、<フェイズ4>の3本目。
コロナ禍の影響で『シャン・チー/テン・リングスの伝説』と公開順が入れ替わり、当初より1年遅れの公開となった。

だが今、大いなる災厄が甦ろうとしていた。
作品世界の基本設定を要約すると、こんな感じになるのだろう。
だが大きく違っていたのは善と悪は表裏一体。
いやどちらも超存在の目的達成のための手段として共に生み出されたものだった、というその実像だろう。
自らをヒーローだと認識していた彼ら――エターナルズたちは、言うなれば自分こそ悪魔の化身だったと知るのだ。
リーダーに盲目的に従ってきた彼らだったが、任務が一段落した時点で各々が進むべき道を選び、チームは解散した。
時が流れ、今また再び脅威が迫る中で再会を果たすのだが、既に彼らは一枚岩ではない。
そして彼らにとっての残酷な真実――自分たちのアイデンティティを揺るがす現実を突きつけられることになるわけだが、それに抗い、最善と信じて仲間と袂を分かつ、或いは仲間を裏切る決断をする者さえ出てくる。
リーダーとは何か。
大いなる秘密を分け与えられた者は、自分が腹心であり次期リーダーであろうと思う。
そして恋人を守るために全身全霊を傾けようと。
だが選ばれたのは、自分の庇護の対象となるべき恋人だった。
庇護の対象ということはおそらく、無意識に自分より格が劣ると考えていた対象が新たなリーダーに。
サブリーダーとしてリーダーと秘密を共有し、皆のまとめ役を自認してきた身としては到底承服しかねることだったろう。
また絶対者への不服従。
信じていたリーダーに裏切られた想い、それが結果的に自分だけでなく仲間たちの運命をも大きく変えてしまうことになるだろうことに考えが至っていたのか。
それとも一時的な感情の高ぶりから来る衝動的な行動だったのか。
それは当人にもわかるまい。
時系列が錯綜し、冗漫な2時間半強。
自分の理解が及ばない世界。
前線で戦う戦士と、それを介抱する癒し手の存在。
当たり前のように考えられてきた男女の役割を入れ替えて見せた斬新さ。
その一方で現在の風潮に阿るかのような同性愛者や障碍者を身内に抱える歪さ。
正直<MCU>作品でここまで苦痛を味わったことはなかった。
エンドロール後に当たり前のように表示される”ETERNALS WILL RETURN”の文字。
果たして諸手を上げて彼らの帰還を歓迎出来るだろうか。

◆『エターナルズ』トーホーシネマズ日比谷9 ▲エターナルズ一座の皆様方。 五つ星評価で【★★★★面白いのだから流石だ】 ※ うっすらネタバレかも。 ツイッターでの最初の感想(↓) ガルーダとオレアナかよという驚き。そして「サイボーグ009天使編」と言われるのも分かる。このタイツな物語の裏で「ノマドランド」と繋がっていて違和感がない感じが凄い。ビジュアル的には速い人が良くって、心情的...... more


配信ドラマはまだ見ていないので何とも言えませんが、今のところフェイズ4の諸作品は皆期待外れですね。
思いの外中断期間が長かったので、受け止める自分の方に色々な変化があったのかもしれませんが、多少の当たり外れはあったにせよ、フェイズ3までの毎回のワクワク感は味わえていません。
その点、次の「スパイダーマン」には期待したいんですが。

アメコミテイストが薄いのはおそらく意図的にエターナルズと人々の交歓を描く事が避けられているからだろう。10人もいるのでそこまでやってたら尺がいくらあっても足りない。又、ヒーローの人を守る目的が「誰それとその周辺」という形になりやすいのに、この映画では「漠然と人類」みたいに芒洋としてる事も異色。
人類との接し方の違いが、後々の決断に影響する(セルシとイカリスとか)というのは面白いと思ったんですがねえ。
この映画を再評価するには、多分あと4~5回くらいは見ないと駄目だろうな。
まあ他の<MCU>作品同様、そのくらいの回数は見ることになるだろうけど。