『狼の紋章』(1973)
2021年 11月 08日
平井和正の<ウルフガイ>シリーズの映画化作品で、監督は松本正志。
今のイメージからは想像が付かないかもしれないが、当時の志垣太郎演じる犬神明はクールかつワイルドで、なかなか様になっている。
予算や当時の技術的な限界から、肝心の狼男ぶりがチープなのが惜しまれる。
それ以上に原作の雰囲気ピッタリだったのが、黒沢年男の神明。
美人過ぎず、またスタイルが良すぎないのが教師としてリアリティがあるように思う。
本作は松田優作のスクリーンデビュー作としても知られているが、拙いながらも凄みのある悪役で存在感は抜群だった。
他に本田みちこ、伊藤敏孝、加藤小代子らが出演。
中でも加藤小代子扮する小沼竜子のビッチぶりは良い。
ストーリーは比較的原作に忠実で、原作にもあるエロスとバイオレンスの要素もスクリーンに移し替えており、見どころは青鹿先生が凌辱される場面と、それに続くクライマックスの明と羽黒一家との対決シーン。
一般映画で執拗にレイプシーンが描かれ、血飛沫が飛ぶのも珍しいのではないだろうか。