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『狼の紋章』(1973)

『狼の紋章』(1973)_e0033570_21245405.jpg問題児・犬神明が転校してきた学園は、暴力団幹部を父に持つ羽黒が仕切っていた。
転校早々羽黒一派に目をつけられた明は凄惨なリンチを受けるが、彼は無抵抗主義を貫いていた。
そんな明に業を煮やした羽黒は、明に興味を寄せる女教師・青鹿晶子を拉致し、明を誘き寄せる。

平井和正<ウルフガイ>シリーズの映画化作品で、監督は松本正志。
今のイメージからは想像が付かないかもしれないが、当時の志垣太郎演じる犬神明はクールかつワイルドで、なかなか様になっている。
予算や当時の技術的な限界から、肝心の狼男ぶりがチープなのが惜しまれる。

それ以上に原作の雰囲気ピッタリだったのが、黒沢年男の神明。
彼の主演で<アダルト・ウルフガイ>を映画化しても面白かったかも知れない。

青鹿先生を演じた安芸晶子は『ミラーマン』に出ていたことで知られる市地洋子の別名で、文字通り体を張っての熱演。
美人過ぎず、またスタイルが良すぎないのが教師としてリアリティがあるように思う。

本作は松田優作のスクリーンデビュー作としても知られているが、拙いながらも凄みのある悪役で存在感は抜群だった。
他に本田みちこ、伊藤敏孝、加藤小代子らが出演。
中でも加藤小代子扮する小沼竜子のビッチぶりは良い。

ストーリーは比較的原作に忠実で、原作にもあるエロスとバイオレンスの要素もスクリーンに移し替えており、見どころは青鹿先生が凌辱される場面と、それに続くクライマックスの明と羽黒一家との対決シーン。
一般映画で執拗にレイプシーンが描かれ、血飛沫が飛ぶのも珍しいのではないだろうか。
by odin2099 | 2021-11-08 21:28 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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