『金閣寺は燃えているか?/文豪たちの怪しい宴』 鯨統一郎
2021年 11月 16日
『雪国』はミステリ?
『蒲団』はライトノベル⁉
さらには『檸檬』や『金閣寺』を大胆不敵な解釈で解明する!
デビュー作『邪馬台国はどこですか?』から通算100冊目!
『文豪たちの怪しい宴』同様に、日本文学研究界の重鎮たる大学教授の曽根原は美人バーテンダー・ミサキの魅力に惹きつけられるかのようについついバー<スリーバレー>を訪れ、そこにやってきた宮田を交えて大バトルを繰り広げるというパターン。
ただ今回も「小説の解釈なんて読み手の自由じゃないの」と思うし、宮田の新解釈に曽根崎教授も納得し全面降伏している訳でもない。
むしろ「コイツは何を言ってるんだ」という反発心だけが根強く植え付けられているように思えて、何やら作品全体に不穏な空気が漂っているような。
それにミサキも曽根崎教授と宮田のどちらに与するでもないので、毎回物語の終わり方が弱いように思う。
ミサキといえば『徳川埋蔵金はここにある/歴史はバーで作られる2』で衝撃的な展開が待ち構えていたが、そちらとの関係はどうなっているのだろう?
また本来の<スリーバレー>のマスター松永はどうしたのか?
それと今回のラストエピソードでは、宮田と入れ違いにバーから立ち去った客がどうやら早乙女静香らしいのだが、彼女と宮田とのその後の関係も気になるし…と本編とは直接関係ないところばかりが気になってしまう。