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『青島要塞爆撃命令』(1963)

『青島要塞爆撃命令』(1963)_e0033570_20313729.jpg加山雄三、佐藤允、夏木陽介の若手トリオが主演、その脇を池部良、浜美枝、藤田進、平田昭彦、田崎潤、伊吹徹、成瀬昌彦、柳谷寛らが固めた、第一次大戦を扱った珍しい戦争映画。
監督は古澤憲吾で、特技監督は勿論この人、円谷英二

ドイツ軍が青島に設営したビスマルク要塞は巨大な砲台が設置され、連合艦隊と言えども容易に近付けず難攻不落を誇っていた。
そこで白羽の矢が立てられたのが、まだ実験段階の飛行機だった。
かくして二機の複葉機による要塞攻略戦が始まるのだが――。

日本の戦争映画というと悲壮感溢れるものが多いが、珍しく大らかというか全編に亘ってコメディ調。
爆弾が間に合わないからと五寸釘や煉瓦片を飛行機に積み込んで空中から投下すると、地上のドイツ兵たちが「新型爆弾だ!」と右往左往する件があるのだが、こんなこと実際にあったんかいなとツッコミたくなってくる。

そんなこんなで”明るく爽快感のある戦争映画”的な紹介のされ方をすることもあるのだが、実は仲間たちは次々と犠牲になるし、現地人の中にスパイがいて主人公たちが窮地に追い込まれたり、スパイを銃殺に処せようとする場面があったりと決して能天気なだけの映画ではない。
それでも最後は敵の要塞をドッカーン!と爆破して「終」と出るから、敗色濃厚の日本の惨状ばかり描く戦争映画の中にあって異色作なのは間違いない。

この同じ題材をもうちょっとシリアスに描けば、”日本版『ナバロンの要塞』”のようなサスペンスタッチの冒険映画になりそうなもんだが、そうするとやれ好戦的だとかなんとか、横槍が入るんだろうか。
by odin2099 | 2021-11-30 20:33 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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