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『安珍と清姫』(1960)

『安珍と清姫』(1960)_e0033570_19131454.jpg清姫が狩猟の途中に放った矢が、旅の僧・安珍の腕に刺さり傷を負わせてしまう。
傷の手当てをしようとする清姫だったが、戒律を守るため安珍は女人は近付けられないと断る。
自尊心を傷つけられた清姫は安珍に冷たく当たるが、やがて安珍に恋焦がれていることに気付く。
一方の安珍も美しい清姫に心を乱されて…。

安珍・清姫伝説を題材にした悲恋物で、安珍に市川雷蔵、清姫に若尾文子という配役。
共演は浦路洋子、片山明彦、毛利郁子、小堀阿吉雄、荒木忍、南部彰三、花布辰男、毛利菊枝、脚本は 小国英雄、監督は島耕二。

終始オドオドし、己の煩悩に苦悩する市川雷蔵も良いのですが、若尾文子のツンデレで高飛車、世間知らずのお姫様が恋に目覚めて一途な乙女へと変貌していく様がなかなか魅力的です。
しかも傷を癒すために湯に浸かっている安珍を見ると、するりと着物を脱いで湯に入っていく清姫が何とも艶やか。
後ろ向きながら着物をパッと脱ぐシーンでは全裸の後ろ姿が見えますが、これは残念ながら若尾文子本人ではなく吹替らしいのですが。

その後、修行のために山に籠る安珍を追った清姫は、途中の小屋で追いついて遂に二人は結ばれるのですが、安珍が激しく清姫の着物を開けた瞬間、ほんの一瞬ですが胸が露わになります。
実は終盤に安珍の回想というか妄想でこの場面がもう一度出てくるのですが、その時は別撮りらしく乳首は死守したまま。
果たしてこれは演出だったのか、それともハプニングでありながらそのまま使用したのか、どちらなのでしょう。

叶わぬ恋と知った清姫は川に身を投げ、その身は大蛇へと変貌します。
ところがこの蛇の作り物が今一つ。
美しくもなく、恐ろしくもなく……決してこの作品はクリーチャーを売りにした怪獣映画ではありませんが、もう少し作りこんで欲しかったところです。

全体的には平板な映画だと思いますが、二大スターの共演は確かに見応えあります。
そして若尾文子ファンにとっては、前述の場面がいわば”お宝映像”として価値を高めていると言えるでしょう。
by odin2099 | 2021-12-13 19:15 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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