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『宇宙人東京に現わる』(1956)

度重なる円盤の目撃情報、そして各地で目撃される怪物騒動、それは原水爆実験を繰り返し、自滅への道を歩む地球へ警告するべくやって来た、パイラ星からの使者だった。
強力な武器になり得る新元素を発見した科学者にはその危険性を訴え、方程式を破棄するように迫る。
その頃地球に接近する新天体Rが発見された。
地球との衝突は不可避で、地球上の核兵器を全てRに打ち込んで破壊しようと試みるが失敗。
もはや残る手段は、破棄された方程式から新兵器を作るしかなかった。

『宇宙人東京に現わる』(1956)_e0033570_20440035.jpg宣伝文句には「大映カラー総天然色空想科学映画」とあったが、これが国産初のカラーSF映画ということになるらしい。
友好的な宇宙人が核兵器廃絶を訴えるのは『地球の静止する日』、地球へ天体が衝突する危機を描くのは『地球最後の日』と、二つの名作SF映画を合わせたかのような作品は、中島源太郎の原案から小国英雄が脚本を起こし、特殊技術に的場徹を招いて製作された。
出演は川崎敬三、苅田とよみ、八木沢敏、山形勲、南部彰三、見明凡太郎、永井ミエ子、監督は島耕二で、ユニークなパイラ人のデザインは、色彩指導とクレジットされている岡本太郎の手によるもの。

親切心から地球に警告に来たパイラ人だったが、地球人の前に姿を見せるとみんな怖がって逃げてしまうので少々気分を害してしまう。
地球人はなんて醜いんだ、と言ってはみるものの、地球人と接触出来ないと当初の目的は果たせないので渋々”醜い”地球人に変身し、唯一の核被爆国である日本へとやって来る。

そこまでは理にかなっているのだが、何故か人間社会で奇行に走ってしまったためにかえって怪しまれる結果に。
なのでなかなか日本人にメッセージが伝わらない。
またパイラ人は内政不干渉が徹底されているのか、直接地球に救いの手は差し伸べてくれない。

なので後半は異様にテンポが悪くなり、せっかくのタイムサスペンスもちっとも盛り上がらないし、総じて天文台の中で科学者たちが喧々諤々のディスカッションをしてるだけなので(予算の都合かな)退屈なのだが、時代的な意義も加味して評価すべきなんだろうな、きっと。
今回見るのは二回目だが、見たことすら忘れていたぐらい印象に残っていなかった。


Tracked from ふじき78の死屍累々映画.. at 2021-12-22 21:36
タイトル : 『風速七十五米』『宇宙人東京に現わる』『一刀斎は背番号6..
特集上映「シネマヴェーラ的大映男優祭」から2プログラム。 ◆『風速七十五米』 五つ星評価で【★★★いいんか?このラストで】 1963年の白黒ディザスター映画。宇津井健主演。熱血新聞記者宇津井健が大都会の高層ネオンの危険性を新聞記事にしながら、そのネオン建設会社の社員に大層嫌がられるが、その会社の社長令嬢叶順子とはちゃっかりアチチな関係なのである。その二人の幼馴染田宮二郎は今ではすっかりヤク...... more
Commented by ふじき78 at 2021-12-22 21:42 x
うん、そうそう、つまんないんだよね。

でも、しかし、ポスター見るとお姉さん艶っぽくていいな。
Commented by odin2099 at 2021-12-24 23:21
> ふじき78さん

本編だとそんなに艶っぽくないんだよねえ。
by odin2099 | 2021-12-16 20:45 |  映画感想<ア行> | Trackback(1) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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