<角川映画30周年記念作品>として第一作
『犬神家の一族』を、旧作同様に石坂浩二の金田一耕助、市川崑の監督というコンビでリメイク、これが市川監督の遺作となった。
共演は松嶋菜々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、奥菜恵、岸部一徳、葛山信吾、池内万作、螢雪次朗、永澤俊矢、石倉三郎、尾藤イサオ、三條美紀、三谷幸喜、林家木久蔵、深田恭子、草笛光子、中村玉緒、大滝秀治、加藤武、中村敦夫、仲代達矢と豪華な顔触れが並んでいる。
大滝秀治、「よし、わかった!」の加藤武の二人は旧作からのスライド(厳密にいえば加藤武は役名が違うが)で、他に草笛光子や三條美紀など旧作所縁のキャストが別役で出演、大野雄二作曲のテーマ曲もアレンジされて再利用されている。
脚本は旧作のものを使っているので、内容は殆ど同じ。
実生活でも親子である富司純子と尾上菊之助が親子役で共演というのは話題性があるが、見ていると虚実の境界線が曖昧になって変な心持にさせられてしまうし、一見豪華でも旧作に比べるとやや格落ち感のあるキャスティングは微妙。
特に、美人ではあっても清楚さや透明感では島田陽子に遠く及ばない松嶋菜々子の起用(プロデューサーが固執したらしい)など、なんで今更リメイクしようという話になったのだろうか。
撮影当時23歳くらいだった島田陽子と33歳くらいの松嶋菜々子を比較するのも酷ではあるのだが、やはり珠世には処女性が不可欠だと思うので。
これならばまだ映画化されていない別の金田一作品にした方が良かったのに、と思う。