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『薬師寺涼子の怪奇事件簿』第1巻

田中芳樹の「ドラよけお涼」こと<薬師寺涼子の怪奇事件簿>シリーズのアニメ化作品。

…かと思ったら、「原作:田中芳樹/垣野内成美」と連名表記。
ということは垣野内成美のコミカライズの方が原作ということになるのかな。
もっともお話は原作にはないアニメ版のオリジナルストーリーだけれども。

『薬師寺涼子の怪奇事件簿』第1巻_e0033570_22155813.jpg第1巻には「ファイル1 銀座クライムタワー(前編)」、「ファイル2 銀座クライムタワー(後編)」、「ファイル3 桜田門事変」の3話を収録。
1・2話だけその昔に見たような記憶があるのだけれども、なんだかんだでもう14年も前の作品だったりするのだなあ。

「銀座クライムタワー」はオリジナルながら、お涼さまをはじめ泉田警部補や室町由紀子、岸本明といったレギュラーキャラクターを端的に紹介し、いけ好かないエリート官僚が出てきたり、魑魅魍魎が相手だったりと原作の要素をふんだんに盛り込んだパイロット版としては良く出来た内容。
前後編という分量も丁度良い感じ。

「桜田門事変」はお涼のスキャンダルを狙う新聞記者を逆手に取り、泉田クンとの間を既成事実化してしまおうと目論む彼女と、そんな彼女の意図にはまるで気付かない彼とのトンチンカンなやり取りが愉しめ、その一方で事件らしい事件が何も起こらないという、これまた原作の魅力の一つを取り上げた一篇だ。

小説版のイラストも手掛けている垣野内成美の絵は魅力的で、お涼の何気ない佇まいや表情も妙に色っぽい。
実写では、お涼にしろお由紀にしろ、説得力をもって演じられる女優さんはいないだろうし(泉田クンに関しては、葛山信吾なんか合うんじゃないの、なんて思ってたなあ、このアニメが出来る前は)確かにこの作品はアニメ向きと言えそうだ。

ちなみに1話では原作第2巻の「東京ナイトメア事件」と第7巻「霧の訪問者事件」が過去の事件として語られている。
アニメが放送されていた頃の最新刊は8巻だから、時系列的にはこのアニメもそのあたりの位置するのだろうか。


by odin2099 | 2022-01-21 22:20 | テレビ | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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