『ホワット・イフ...?』その1
2022年 04月 03日
<MCU>の正史ではなく、もしも選択が少し変わっていたら、という架空の世界を描く初のアニメーション作品で一話完結。
しかし”見守る者”ウォッチャーが語り部となっているので、正式なフェイズ4の5作品目ということになり、お馴染みのマーベルスタジオのロゴマークから始まる。

とっさにペギーが自ら被験者となり、キャプテン・カーターが誕生する。
スティーブは代わりにハワードが作ったヒドラ・ストンパーというアーマーを装着してサポートに回るが、これがトニーが作ったアイアンマン・スーツ1号機を彷彿とさせるデザインなのが面白い。
キャプテン・カーターは囚われていたバッキーたちを救い出し、レッドスカルの陰謀を阻止するべく戦うのだが、レッドスカルが異次元から呼び出した怪物との戦いでカーターは時空の彼方へ。
彼女が”こちらの世界”へ戻ってきた時は、既に70年が経過していた。
ペギーは英国人なので、盾もコスチュームも星条旗ではなくユニオンフラッグでマスクの類は使用していない。
戦闘能力だけを考えれば、実はキャプテン・アメリカよりも上なんじゃないかなという気もする。
ラストシーンの舞台は「アベンジャーズ」1作目冒頭に出てくるシールド基地の実験用施設と同じ場所だと思うが、”こちらの世界”でも彼女不在の間は似たような事件が起こっていたのだろうか。
他にアースキン博士やゾラ博士、ニック・フューリー、クリント・バートンらも登場。
ペギー、フューリー、アースキン、ハワード、バッキー、ゾラ、ダム・ダム・デューガンらの声はオリジナルキャストが担当し、吹替版だとスティーブやレッドスカルも同じ。
なおフューリーやバートン、ナターシャ・ロマノフらは、この配信ドラマから吹替のキャストが変更になっていいる。
ティ・チャラの方が人格者だからなのか、ピーターと違って”この世界”のスター・ロードはかなり有名で、一部では英雄扱いされている。
また何といってもサノスを説得して指パッチンを止めさせた、というのだからえらい違いだ。
ティ・チャラはヨンドゥやクラグリン、テイザーフェイスらラベジャーズのメンバーと行動を共にしていてサノスとネビュラが仲間になっているし、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは結成されず、ドラックスは顔見世程度の出番。
ガモーラもロケットもグルートも出てこない。
ティ・チャラ役のチャドウィック・ボーズマンは本シリーズが遺作で、エンドクレジットで献辞が流れる。
他にネビュラ、ヨンドゥ、コラス、ティ・チャカ、サノス、コレクター、エゴ、クラグリン、テイザーフェイス、ハワード・ザ・ダック、オコエ、カリーナ、プロキシマ・ミッドナイト、エボニー・マウ(共にサノスの部下ではなくコレクターの部下として出てくる)らがオリキャス。
最後は、拉致されずに地球で育ったピーターの元を、エゴが訪れるシーンで終わる。
自棄になったトニーを助けようとしたフューリーとナターシャだったが、ナターシャが注射した直後にトニーは急逝し殺人容疑がかけられ、ハンマーを奪還しようと施設に侵入したソーはあっさりと射殺され、その嫌疑はバートンにかけられる。
更に拘束中だったバートンは獄中で服毒死し、ハルクまでも殺されてしまい、一連の事件はアベンジャーズの候補者たちを狙った連続殺人だとフューリーは睨む。
そんな折、ロキ率いるアスガルド軍がソーの敵討ちで地球へと来訪する。
ロキにシフにコールソン、ラムロウ、ロス将軍、更にベティ・ロスといった懐かしい顔ぶれが勢揃い。
フューリー、バートン、ロキもコールソンもシフもラムロウもブルース・バナーも、そしてハンク・ピムもオリジナルキャスト。
吹替だとロス将軍やベティ・ロス、キャロル・ダンヴァースもオリキャスで、正史での後の展開を知っているとバナーを前にしたナターシャとベティの会話なんかかなり意味深。
正史では事故で腕を負傷したことで魔法に助けを見出したストレンジ。
これがもし手の怪我ではなく、クリスティーン・パーマーを失っていたら?という話。
彼女を救うため何度も時間を巻き戻すストレンジだったが、彼女が死ぬという事実は変えられなかった。
現実世界へ大きな災いをもたらすと判断したエンシェント・ワンは、ストレンジを二つに分離させる。
更に強大な力を求めて暴走するストレンジと、それを阻止せんとするもう一人のストレンジの対決。
ストレンジ、クリスティーン、ウォン、エンシェント・ワン、全てオリジナルキャストで登場という、文字通りの「ドクター・ストレンジ」のアナザー・ストーリー。
映画だけ見ているとストレンジが全てを投げうつほどクリスティーンに執着しているようにも思えなかったのだが、それは実際に彼女を失ってはいなかったから、という解釈で良いのかな。
最後まで救いのないお話になっていた。
なお事故の模様を伝えるテレビのニュースキャスターは、「アイアンマン」、「アイアンマン2」のクリスティン・エヴァーハートで、声もオリキャスのレスリー・ビブなんだそうな。
吹替だとクリスティーン・パーマーとエンシェント・ワン以外がオリキャスだ。
第5話「もしも...ゾンビが出たら?」
「アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー」でハルクが地球へ落下するシーンから分岐した物語。
この直前「アントマン&ワスプ」で描かれた様に、ハンク・ピムはスコット・ラングやホープ・ヴァン・ダインと一緒に量子世界に取り残された妻ジャネット救出作戦を展開していたが、この時既にシャネットは未知のウィルスに侵されており、その彼女を通じて全世界にそれが拡散、人々はゾンビ化してしまうというのが発端。
スティーブ・ロジャースもトニー・スタークもゾンビと化し、何とか難を逃れているのはバッキー、ハッピー、ホープ、ティ・チャラ、シャロン・カーター、オコエ、カート、ピーター・パーカーだけ。
だが治療薬を見つけたとの情報を得て向かった先で彼らを出迎えたのは、ヴィジョンと治療が成功したスコットだった。
しかし…という、別の意味での「エンド・ゲーム」。
ブルース・バナー、ティ・チャラ、スコット、バッキー、ハッピー、ヴィジョン、シャロンがオリジナルキャスト。
最後まで生き残るのはティ・チャラとピーターとスコット(首だけだが)だけで、どうやら治療方法をワカンダの技術力で全世界へ拡散させれば人類は助かるらしいという結末なのだが、ゾンビの中にサノスもいるあたり素直なハッピーエンドは望めそうもない。
このシリーズ、多分にお遊び的な内容が多いのかと思いきや、かなり本格的に作りこまれていたので驚く。
アニメになったのは実写でオリキャスを揃えるのが難しいということもあるのだろうが、あくまでも「もしもの世界」なのだという免罪符みたいな役割もあるのだろう。
そのアニメ化されたキャラクターは、本人によく似ているものもあれば全然似てないのもあり、総じて微妙なデザインではあるのだが。
今回登場するトニー・スタークの吹替は森川智之。
他にも藤原啓治が演じたキャラの代役を務めているので妥当な線なのかもしれないが、だからこそ違う配役にして欲しかったと思っていたのだが…。
それに森川智之は<MCU>で既に「インクレディブル・ハルク」のサミュエル・スターンズ、「アイアンマン2」のジャスティン・ハマー、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」、「ブラックパンサー」のエヴェレット・ロス、「キャプテン・マーベル」でヨン・ロッグを演じているので、今後の作品如何によってはキャラが被る可能性が高いというのも反対の理由なのだが、やはりトニーの藤原啓治は唯一無二だ。