『プロ野球「経営」全史』 中川右介
2022年 05月 24日

そのため、どの球団にどんな選手がいてどんな活躍をしたか(古くは沢村、大下、川上、藤村から、王、長嶋、金田、野村、張本、田淵や江夏、星野、落合、掛布、原、清原、野茂、イチロー、松井…etc)とか、チーム自体の成績がどうだったとか、そういったことには殆ど触れておらず(優勝したとか成績不振だったとか、球団の売却に関わる情報は当然あるのだが)、親会社がどう変わり、球団名がどう変わっていったのかが網羅されている。
その親会社も、発足期は鉄道会社が中心になって球団経営に乗り出し、次に新聞社、それが映画会社になり、今はIT関係が参入してきているといった具合に、どの時期にどんな業界が活気に溢れていたとか、そういうことが事細かに述べられている。
やはり勢いのある業種、企業が球団を持ちたがり、その業界が衰退したり、親会社の経営が不振になれば手放さざるを得なくなるのである。
球団の成績とは必ずしも直結しない産業界の興亡史としても楽しめる、というよりそちらがメイン。
プロ野球にあまり興味がない人でも(むしろない人の方が?)面白く読めるかも知れない。