日本のアニメーションの歴史を描いた本と言うと、いわゆる実験用アニメを中心にしたものか、商業用アニメを中心にしたもののどちらか、という印象だったのだが、こちらは商業用アニメ寄り(一般的な認知度が低いため、実験用アニメ中心ではトピックを立て難い)とはいえ実験用アニメも含めた通俗史となっている。
勿論『白蛇伝』、『鉄腕アトム』、『ルパン三世』、『マジンガーZ』、『宇宙戦艦ヤマト』、『アルプスの少女ハイジ』、『機動戦士ガンダム』、『銀河鉄道999』、『うる星やつら』、『超時空要塞マクロス』、『風の谷のナウシカ』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『攻殻機動隊』、『もののけ姫』、『君の名は』、『この世界の片隅に』といったエポックメイキングな作品は外していない。
個人的には70年代終わりから80年代半ばまで続くアニメブームはもっと掘り下げて欲しいし、それに付随する声優ブームや、ラジオ番組、ゲーム、各種イベントへの波及具合についても触れて欲しいし、アニメ以外SF、ファンタジー作品への影響や、他にもページを割いて取り上げて欲しかった作品もあったし、読んだ人それぞれ思うところがあるだろうが、いわばこの本を土台、底本、共同認識として皆が「自分なりのアニメ史」をまとめていけば良いのではないか。
そんな風に思っている。