舞台『死神遣いの事件帖/幽明奇譚』
2022年 06月 12日
前2作は映画があって舞台がある文字通りの<ムビ×ステ>だったが、今回は舞台が先行するいわば<ステ×ムビ>、更にどちらも同じ俳優が主演を務めるのも今回が初めてだ。
今回は十蘭はお休み(後ろ姿と声だけ)なので、幻士郎は亜門とコンビを組み、インチキ霊媒師と思いきや、実は幽霊や死神と話も出来るという恐山寂蓮らと協力して事件の捜査にあたる。
その中で幻士郎とその父・衒太夫の関係や、歌舞伎一座の暗部が明かされてゆくという内容で、登場人物も多いだけにちょっと整理が必要になる。
初めて舞台で見る鈴木拡樹は立ち振る舞いが映えるし、立ち回りも流麗。
映像でも舞台でも”魅せる”、華のある役者だった。
凰稀かなめもこの座組の中ではやや異色かと思ったのだが、流石の存在感でしっかりと締めている。
二時間しっかりと楽しめ、かつ「次」が気になる作品になっていた。
ただ舞台上から客席に語りかける演出が目立つのと、台詞をトチったかなと思われる個所が幾つかあったのが残念。
また満席の劇場で芝居を見るのは、まだ恐怖心が先に立ってしまう。
それに劇場内外の動線には難ありだ。
会場はヒューリックホール東京。
開場時間より前に着いてはいたものの、開場から実際に入場出来るまで10分近くかかり、更にグッズ売り場では30分近く並び、開演時間ギリギリの着席と相成った。
前2回の様子を考えればもう少し改善の余地はあったろうに。
こちらには十蘭や庄司新之助も登場するとのことで、どんな物語が紡がれるのやら。