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『トップガン/マーヴェリック』(2022)

『トップガン』36年ぶりの続編だが、本来ならもっと早く見られるはずだった。
最初は2019年の夏の予定が一年延期。
その後、新型コロナウィルス感染症の流行があって二転三転。
同じトム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル』シリーズ新作との調整もあり、ようやく今夏の公開にこぎつけた。

前作の『トップガン』は世代だったにも関わらず、興味がなかったので数年後にビデオで見たのは以前書いた通り。
そんなこんなで本作も時に期待していた訳じゃなかったのだけれども、批評家筋からの評判も良いし、自分の周囲のネット界隈では挙って絶賛の嵐だったので、さて見てみるべえと劇場へ。

『トップガン/マーヴェリック』(2022)_e0033570_12012816.jpgのっけから前作をトレースした場面が登場し(「デンジャー・ゾーン」も流れる!)、随所に前作をオマージュしたカットが登場。
お話も部分的にセルフリメイク的な要素が無きにしも非ずだったが、決して安直な焼き直しにはなっておらず、若い連中への世代交代も描きつつ、且つマーヴェリックの現役感もタップリ描かれている。
正直言うと、若い連中の誰よりも優れた技量を持っているというマーヴェリックの現役っぷりは、主役を立てるという意味で致し方ない面もあるのだが、それでも些かやり過ぎに感じるのだが続編映画としては上出来だ。

トム・クルーズも、普段は吉永小百合ほどじゃないけど実年齢より20歳くらい若い役を演じているイメージが強いが、この作品では年齢相応に見える。
というか、若作りしたら陳腐なものになっていただろう。

続編映画の企画そのものは10年以上前に立ち上がっていたが、その頃のトム・クルーズでは説得力がなかったはずだ(劇中の台詞を引用するならば「準備が出来てなかった」)。
もっともその頃の企画案ではマーヴェリックが主役ではなく助演扱いだったらしので、例えば『クリード』におけるロッキーみたいな存在だったのかも知れないが。

そして短いシーンながらヴァル・キルマーの登場。
あの後も功績を立てながら何かと問題を起こしてきたマーヴェリックを、アイスマンが後ろ盾になって支えていた、という設定はグッとくる。
ただ前作ラストだけでは、二人がそこまで信頼関係を築いていたようには見せなかったのだが、おそらくその後も何度か一緒に任務を遂行し、お互いを認め合っていったのだろうな、との想像は付く。

そしてこの作品においても、ルースターとハングマンが同じような関係を築いていくのだろうなと示唆して終わる。
トム・クルーズ主演作の中では最大のヒット作になると見込まれていることから、早くも「次」を望む声も多く上がっているようだが、作るだけのネタは揃っていると言えそうだ。
だが再びマーヴェリックが物語の中心に座るのか、それともルースターたちを据えたスピンオフになるのか、そもそも彼らにこれ以上語る物語が存在するのか、それは神のみぞ知る、と言ったところか。

ところで、前作のフッテージを流用してのグースやキャロルの登場の登場はあるものの、アイスマン以外に続投しているキャラクターはいない。
さすがに今のケリー・マクギリスをチャーリー役で起用すればぶち壊しになってしまうだろう。
代わって登場したヒロインはジェニファー・コネリーで、前作でも名前だけ登場したペニー役。
若い頃からマーヴェリックとは付いたり離れたりを繰り返していた、ということなのだが、前作の公開時だとジェニファー・コネリーはまだ15~6なんだよなあ…。
まあトム・クルーズとは釣り合いが取れてはいるのだけれども。


by odin2099 | 2022-06-18 12:03 |  映画感想<タ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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