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『ナワリヌイ』(2022)

この映画のキャッチコピーの中に、「どんなスパイ映画よりもスリリング」という「サンデー・タイムズ」紙の評があるのだが、正にその通り。
フィクションではなく、これがドキュメンタリーだということに驚き、かつ恐れ戦く。

『ナワリヌイ』(2022)_e0033570_09521037.jpgアレクセイ・ナワリヌイはロシアの政治活動家。
プーチン政権を批判し”反体制のカリスマ”として支持を集めていたのだが、シベリアからモスクワへ向かう機上で突如危篤状態に陥る。
ところが緊急搬送された病院には家族すら入ることを許されず、状況は依然不透明なまま。
妻の必死の呼びかけにようやく応える形で転院が認められ、逸早く受け入れを表明したドイツへ搬送。
ベルリンの病院で奇跡的に一命をとりとめた彼の身体からは、毒物が検出された。

回復した彼と家族はジャーナリストの協力を得て、自分の暗殺未遂犯の捜査に乗り出していくのだが、これが冒頭に掲げたように、そんじょそこらのスパイ映画なんざ目じゃないスリリングさ。
そして遂に実行犯の一人から、事件の詳細が明らかにされる。

もちろんプーチンをはじめとするロシア政府はこれを否定。
特にアレクセイ・ナワリヌイの名前はタブーとされ、会見でもあたかも”名前を呼んではいけないあの人”状態なのはむしろ滑稽ですらある。
かくも彼の国では嘘や隠蔽が常態化しているのか。
しかも根拠や理由を説明することなく、ただただ一方的に否定し隠すだけの幼稚さだ。

その後回復した彼は、支持者たちからの反対の声を押して母国へ帰還。
市民たちからは熱狂的に歓迎されながら即座に空港で収監され、現在も服役中である。
折しもロシアによるウクライナ侵攻の惨状が世界中に報じられる中で、よくもこのような内容の作品が作られ、かつ公開されたことに驚くとともに、製作陣の勇気と熱意、努力に感謝したい気分だ。
そしてこれを機に少しでもロシアが、そして世界が良い方向へ向かっていくことを願う。


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by odin2099 | 2022-06-19 09:52 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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