ゲキ×シネ『SHIROH』(2005)
2022年 06月 20日
その中心となっていたのは、島原の隠れキリシタンの益田四郎時貞。
だがかつて”神の子”と謳われていた彼だったが、今は奇跡を行う力を失い人を導く役目を担うことに逡巡していた。
そんな時、天草に歌で人の心を操ることの出来る、”シロー”と呼ばれている混血児の少年がいた。

劇団☆新感線の舞台を見るのも初めてなら、<ゲキ×シネ>を見るのも初めて。
島原の乱を題材に、天草四郎は二人いたという解釈で描かれた物語、しかもロック・ミュージカル仕立てということで興味を持って見てみたが、なるほどこれを映画館で見ていたら、生のステージを見るのとは違うものの、その迫力の一端は味わえただろうなと感じた。
むしろ演じている俳優の表情は生の舞台以上に伝わるため、物語への没入感は舞台以上かもしれない。
上川隆也の立ち回りは颯爽としており、大塚千弘の歌声は透明感があり、高橋由美子は可憐。
現代的な演出や思いの外コミカルな場面が多いのには驚いたが、その熱量はしっかりと伝わってくる。
その一方、これを家庭でテレビ、DVDで見てしまうとどうしても集中力が持続せず、ダレ場が出て来てしまった。
上演時間も休憩なしの3時間超だし、それなりのホームシアター環境を整えた家庭なら良いかも知れないが、やはり生の臨場感に勝るものはないのかなと思う。