『七色仮面/死の追跡』(1959)
2022年 06月 24日
観客は七色仮面=蘭光太郎と思って見ているが、劇中人物は誰一人そのことに思い至らない。
というか観客にも二人が同一人物だと匂わせる手掛かりは提示されていないので、実際のところその関連性は不明のままだ。
七色仮面の情報で警察はコブラ仮面のアジトを急襲するが既の所で取り逃がしたり、もう安心だから家に帰って大丈夫と言われた矢先に襲われたりと、七色仮面はヒーローとしてはかなり頼りない。
またあっちこっちで事件が起きるので、さてこれをどうやって解決するのかと思っているとどっちも放置したり、これがヒーローなのかなあ。
その代わり、警察をはじめ”普通の人々”が自ら行動を起こして事件に対処する、という図式は今では新鮮。
ヒーローはあくまでも絶体絶命の時にそっと手を差し伸べるだけで、何でもかんでもヒーローが解決するという、ヒーロー頼みの作劇にはなっていない。
対するコブラ仮面も罠を仕掛けたり、敵味方共に知略を尽くした攻防戦という趣きなのも愉しいが、1クール費やして描くだけのドラマなのかいな、と思ってしまうのは、今のヒーロー物に慣れ過ぎているからなんだろうな。
今ならこのお話、描くのに30分1話か、せいぜい前後編くらいしか貰えないだろう。
それに今回は蘭光太郎は一切出てこないし、七色仮面の出番も少ない。
さて、いよいよ次回で第一部完だが、どう決着をつけるのだろうか。