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『漆黒天/終の語り』(2022)

先に舞台版『死神遣いの事件帖/幽明奇譚』が上演されたが、<東映ムビ×ステ>はやはりその名の通り映画→舞台という順番が正式なのだろうか、こちらが第3弾というカウントになるようだ。

『漆黒天/終の語り』(2022)_e0033570_16170401.jpg謎の刺客たちから追われている記憶をなくした凄腕の浪人が、立ち寄った江戸の町でちょっとした経緯から町娘、ごろつき兄弟、売れない狂言作家と知り合い、自分が一体何者で、誰が何の理由で自分の命を狙っているのかを探るという時代劇アクション。

出演は荒木宏文、小宮有紗、松田凌、長妻怜央、橋本祥平、松本寛也、小島藤子、梅津瑞樹、小澤雄太、鈴木裕樹、唐橋充、宇梶剛士、監督は坂本浩一。

坂本監督はいつか<ムビ×ステ>に来るんじゃないかなと思っていたが、いよいよの登板。
荒木宏文と鈴木裕樹は映像作品では『獣拳戦隊ゲキレンジャー』以来の共演で、松本寛也は唯一の<ムビ×ステ>皆勤賞になるらしい。

荒木宏文演じる記憶を失った男は”名無し”と呼ばれるようになるが、やがて自分が町で悪事の限りを尽くす”日陰党”というならず者集団に妻子を殺された宇内陽之介という剣術師範であることを思い出す。
ところが彼を付け狙っていた連中こそ”日陰党”討伐を目的とする幕府の役人たちで、その中にいた彼と瓜二つの男は自分こそが宇内陽之介であり、彼が野伏に育てられた双子の兄弟・旭太郎で妻子の仇だと告げるのだった。

ということで登場人物の大半は表と裏の顔を持ち、善悪の基準が二転三転し(と言っても先読みが出来ないほどではないが)、二人のうちどちらが本物の宇内陽之介なのか、そして最後に生き残ったのが果たしてどちらなのか、明示されないミステリー仕立てなのがこの作品のポイントだ。

舞台版はこの前日譚になるそうなので、そちらを見ればこの映画版を読み解くヒントも提示されるかもしれないのが愉しみであり、その上でもう一度この映画版を見直してみたいと思う。

【追記】
舞台版はチケットは入手出来たものの、出演者にコロナの感染者が出たとのことで、該当の公演が中止になってしまい、見ることが出来なくなってしまった。
『漆黒天/終の語り』(2022)_e0033570_16171511.jpg


by odin2099 | 2022-06-26 16:21 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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