『漆黒天/終の語り』(2022)
2022年 06月 26日

荒木宏文と鈴木裕樹は映像作品では「獣拳戦隊ゲキレンジャー」以来の共演で、松本寛也は唯一の<ムビ×ステ>皆勤賞になるらしい。
荒木宏文演じる記憶を失った男は”名無し”と呼ばれるようになるが、やがて自分が町で悪事の限りを尽くす”日陰党”というならず者集団に妻子を殺された宇内陽之介という剣術師範であることを思い出す。
ところが彼を付け狙っていた連中こそ”日陰党”討伐を目的とする幕府の役人たちで、その中にいた彼と瓜二つの男は自分こそが宇内陽之介であり、彼が野伏に育てられた双子の兄弟・旭太郎で妻子の仇だと告げるのだった。
ということで登場人物の大半は表と裏の顔を持ち、善悪の基準が二転三転し(と言っても先読みが出来ないほどではないが)、二人のうちどちらが本物の宇内陽之介なのか、そして最後に生き残ったのが果たしてどちらなのか、明示されないミステリー仕立てなのがこの作品のポイントだ。
舞台版はこの前日譚になるそうなので、そちらを見ればこの映画版を読み解くヒントも提示されるかもしれないのが愉しみであり、その上でもう一度この映画版を見直してみたいと思う。
