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劇場版『からかい上手の高木さん』

週替わりのエンディング曲が4パターンあるということで、4週間映画館へ通い詰めた。
これまでにそんな経験はなかったし、今後もないかもしれない。
週替わりのプレゼントもあるとはいえそれだけじゃなく、やはり「何回でも見たい」と思わせてくれた作品だからこそ、なのだが。

原作の『からかい上手の高木さん』は、一話完結で時系列もバラバラ。
お話によって中学1年生だったり2年生だったり、季節もまちまち。
一部の連続ストーリーを除けば過去のエピソードを引きずる話もないし、何巻からでも、どのお話から読んでも特に問題はなし。
なので西片と高木さんの関係も、これといって進展しない。
今後もし変化が如実に描かれだしたとしたら、それは最終回へ向けての伏線なんだと思う。

劇場版『からかい上手の高木さん』_e0033570_21051680.jpg一方のテレビアニメ版は中学1年生から始まり、季節を順番に巡って3期の最後は2年生の春。
過去のエピソードを踏まえた改変もあるし、原作にないオリジナルエピソードを幾つか挟み、特に「林間学校」、「夏祭り」、「2月14日」、「3月14日」といったエピソード群で徐々に二人の距離を縮めてきた。
そして迎えたこの劇場版では中学生活最後の、3年生の夏が描かれる。

なのでアニメ版を未見、もしくは全話を熱心に追ってきたわけではない『高木さん』ファンには、この映画はかなり唐突に映るだろう。
冒頭から二人は、既に付き合ってると言ってもおかしくない関係を構築しているし、夏休み中でも会える方法を探し、そこに都合良く見つけた子猫の世話をするという口実を得て、それで二人の世界へ突入してしまう。

間接的に二人を後押しするのは浜口だったり、真野ちゃんだったりするのだが、もし彼らの一言がなかったとしても、二人は遅かれ早かれこうなっただろうなと思えるくらい映画の中では自然の流れなのだが、テレビアニメ版を知らない人からすれば「おいおい、いつの間に」だ。
それに二人とも中3の夏は受験勉強で大変なんじゃないのかなあ(これはミナ、ユカリ、サナエの3人組にも、木村や高尾、浜口らにも言えることだが)。

この後悲しい別れがあり、慰めるつもりもあったのだろう、西方は「高木さんは幸せになる。高木さんを幸せにする」と思わず口に出してしまう。
この些か性急な、プロポーズめいた西片の台詞に対し、泣いている高木さんからの反応はこれといってないのだが、後日今度は高木さんの口からも「私も西片を幸せにするよ」という告白というか返事があり、エンドクレジット後の十数年後の二人の場面へと繋がっていくのだが、この時の高木さんの台詞に対し西片がいつもと違って赤面していないのがいい。

この瞬間、二人は「からかう」「からかわれる」という関係ではなく、対等な恋人同士になった、ということなのだろう。
もちろん二人の「からかう」「からかわれる」関係がなくなったわけではないことは、ラストシーンでも明白であるが。

おそらく原作の『高木さん』では、こういう展開にはならないのではないだろうか。
このままずっと中学生で続けていくのか、それとも高校、大学…と時間を先に進めるのかはわからないが、いずれにせよ二人の関係性に大きな変化が現れるところまでは描かないように思う。
どちらかの告白という形はとらず、劇的な展開のない普段通りのエピソードで完結するような気もするがどうだろう。

いずれにせよ原作やスピンオフでハッピーエンドは約束されているお話だから、「これぞ最終回でござい」と正面から構えたエピソードは不要にも思えるし、一方で二人の、特に高木さんの笑顔で終わって欲しいなという気持ちもあるし、一体どこまで続くのやら、色々と気になっている。
定石なら西片が高木さんに告白して…という流れが考えられるけれど、だからこそ高木さんから西片へ告白、という形で決着がつくのも見てみたい。

ただ残念ながらアニメ版は今回で打ち止めかな。
この映画版も、グッズの売り上げや観客の満足度調査の結果はともかく、観客動員や興行収入という点からは少々厳しい声も聞こえてきているようなので、製作・配給サイドがどのあたりを合格ラインに設定しているのかはわからないが、ここらが良い潮時なのかもしれない。
そして今度は『からかい上手の(元)高木さん』のアニメ化、なんてことに繋がると嬉しいのだが。

【ひとりごと】
エンディング曲が4通りあるといっても、単に違う歌が流れるだけではない。
曲の長さがそれぞれ違うので、実は映像も4通りあるのだ。
これ、DVDやBlu-rayに全パターンが収録されるんだろうか。
実はどの曲が流れるかで、映画を見終わった後の気分がちょっと変わる、という仕掛けなんだが、いずれにせよ高木さん、というよりCVの高橋李依の歌声に癒される~。

また5週目6週目の入プレと、エンディング曲が発表されたんだけど……まだ行くか?
ちなみにED曲は最初に戻るとのこと。

<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/29974738/


by odin2099 | 2022-07-04 21:09 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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