『アルプスの少女ハイジ』に続いて<世界名作劇場>の枠から映画化されたのは、『ハイジ』の後番組『フランダースの犬』ではなく、更にその後の番組である『母をたずねて三千里』でした。
今回もTVシリーズのスタッフとは無関係に映画化の作業は行われたようですが、ただTV版の演出を担当した高畑勲は”監修”という名目でクレジットされているので、多少なりとも目は通しているのだと思われます。

ただ一本のしっかりした物語がある『ハイジ』とは違い、『母をたずねて』はマルコの母親探しという中心線はあるものの、基本的にはオムニバス式のドラマであり、しかも短編である原作を1年間の放送用に膨らませるために、オリジナルのキャラクターやエピソードを大量に投入していたわけですから、これを一本の映画にまとめるのは大変な苦労だったろうと思います。
というか、ハッキリ言って映画だけ見ていると、キャラクターたちが右から左へとマルコの前をただ通り過ぎていってるだけの印象を受けます。
映画館で見ている時も途中で退屈してしまった思い出がありますが、そうは言ってもクライマックスの母親との再会シーンではジーンとさせられますね。
もっともその余韻もどこへやら、のエンディングにはちょっとガッカリですが。
そういえば僕が見に行った時は、何故か『ハイジ』と2本立てになっておりました。
テコ入れの一環だったのでしょうかね。
それでも映画館はガラガラでしたし、他に何本も予定されていた<名作劇場>の映画化企画は立ち消えになってしまったようです。