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『宇宙海賊キャプテンハーロック』#2

第7話「海底のピラミッド」、第8話「女王の宇宙艦隊」、第9話「戦慄の植物生命体」、第10話「謎の惑星に迫れ」、第11話「ローラが金色に輝く時」、第12話「母よ、永遠なれ」を収録した第2巻。

火曜19時のテレビ朝日って『ハーロック』の前に何を放送してた枠だっけ?
…と思って調べてみたら、『アクマイザー3』、『超神ビビューン』、『氷河戦士ガイスラッガー』、『冒険ファミリー ここは惑星0番地』なんかをやっていた枠だった。

『宇宙海賊キャプテンハーロック』#2_e0033570_21280226.jpgいずれにせよ東映が持っていたものの、東映動画作品を放送してはいなかったからか、メインスタッフは木曜19時フジテレビで放送していた『アローエンブレム グランプリの鷹』からのシフト(前半と後半でスタッフを入れ替えた)で新しい組(班)が作られ、キャストは同じ”松本零士原作”を冠した日曜19時フジテレビの『惑星ロボ ダンガードA』からの流れがあるように思える。
ちなみに『グランプリの鷹』の後番組が『銀河鉄道999』だ。

これまでのところは原作に準じていたものの、このあたりから独自展開が増えてくる。
テレビということで制約もあったのだろうが(と言いつつも全裸美女の集団に襲われるハーロックと台羽、という今だったら地上波じゃまず流せない場面があったりもするのだが)、一番の理由は原作のストックがなかったことだろう。

特に10話から12話までの三部作は、ローラというマゾーンの美少女に翻弄される台羽正を描いており、その出来栄え云々以前に原作との乖離が気になりすぎて、個人的には楽しめなかった記憶がある。
一応は最終回まで付き合ったものの、実質的にはこの時期に脱落した。

とにかく台羽が父の復讐第一で突っ走る突っ走る。
主人公らしいといえばいえるのだけれども、原作の台羽はここまで熱血漢というか猪突猛進タイプじゃない。
またハーロックと台羽の意見の相違が繰り返し強調され、結果的に台羽が学ばないわからず屋に見えることもしばしば。

確か台羽役の神谷明も、「ストレートにマゾーンに怒りをぶつける姿には違和感があった」というような趣旨のコメントを残していたはずだ。
有紀螢ら他の乗組員たちも、原作ではハーロック共々時には突き放し、時には暖かく見守っているというスタンスだったのが、どうも台羽に同調し過ぎに映ってしまったのも違和感が残るところだ。

その有紀螢は、今回のエピソードではローラの監禁された部屋へ足繫く足を運ぶ台羽を心配し、かつローラに対しての嫉妬心を露わにしたりと可愛らしい面も見せてくれるが、はて台羽と螢ってそんな関係だったっけ?
もっとも台羽はローラの美しさの虜になったわけじゃなく、催眠術でローラを死んだ筈の母親だと思い込まされていただけだったんだけどね。

そして今回の隠れたポイントは、9話と10話では徳丸完が代役としてハーロックを演じていること。
これは井上真樹夫がポリープ手術を行った関係なのだが、今聴くと意外に悪くない。
当時は勿論急に声が変わったことの違和感しかなかったが、この頃の井上ハーロックは若干軽すぎるから、徳丸ハーロックくらい渋い方が貫禄があって良い。
しかし何故に代役が徳丸完だったのだろう?
特に声質が似ているとも思えないが、ハーロック役の最終候補の一人だったのだろうか。

【ひとこと】
第10話のエンディングには唐突に「時に西暦2979年5月30日のことであった」とナレーションが入るのだが、放送されたのが丁度1978年の5月30日。
まあ何の意味があるのかわからないのだけれど一種のシャレかな、と長年思い続けていたのだが、あれ?79年?
てっきり「西暦2978年」って言ってるとばかり思ってた。
うーん、益々謎だ。


by odin2099 | 2022-08-21 21:32 | テレビ | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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