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『火の鳥』(1978)

手塚治虫の『火の鳥/黎明編』を、若山富三郎、尾美としのり、草刈正雄、田中健、大原麗子、由美かおる、江守徹、林隆三、沖雅也、風吹ジュン、ピーター、カルーセル麻紀、木原光知子、加藤武、大滝秀治、伴淳三郎、草笛光子、高峰三枝子、仲代達矢ら豪華キャストを揃え、市川崑が監督した超大作。

1978年夏の映画といえば、一に『さらば宇宙戦艦ヤマト』、二に『スター・ウォーズ』。
丁度原作漫画を繰り返し読んでいたのでこの作品もそれなりに期待して見に行ったはずなのだが、実のところ面白かったという記憶はまるでない。
覚えているのは、由美かおるのおっぱいがチラっと見えるという、原作にないシーンに驚いたことくらいだ。

『火の鳥』(1978)_e0033570_19240916.jpg劇場公開以来だから今回見るのは44年ぶり。
お話は概ね原作に沿ってはいるものの、上映時間137分では流石にダイジェストである。
脳内で原作を思い出して補完しないと流れが追いきれないし、ナギたちのクマソ、猿田彦やヒミコのヤマタイ、天弓彦やウズメのマツロ、それにジンギ率いる騎馬民族などの関係性もわかりづらい。
更に映画版独自のアレンジもあるのと、盛り込まれたギャグが不調ということもあり、改めて見ても正直言って面白くはなかった。

実写映像とアニメーションもお世辞にも融合してるとは言えないし、豪華な配役も必ずしもキャラクターに適しているかというと微妙。
この作品と並行して作られていた<金田一耕助シリーズ>とも被っているので、単に監督のお気に入りを集めただけのようにも思える。

アニメブームの勃興期、これが全編アニメーションで作られていたとしたら、もう少しファンにも受け入れられたのではないか、という気がする。
手塚作品ならば、同時期に<24時間テレビ>枠で放送された『100万年地球の旅 バンダーブック』の方が遥かに楽しめると思う。

冒頭から出てくる草刈正雄の天弓彦が実に格好良く、これは原作を越えてる部分だ。
弓彦とウズメを恋仲という設定にしたせいか原作よりも出番が多いが、元々はこの役、石坂浩二に決まっていたらしい。
確かに特報では出演者として石坂浩二の名前がクレジットされており、スケジュール合わずに降板したそうなのだが、いやこれは石坂浩二のイメージじゃないだろ。
草刈正雄で正解だ。


by odin2099 | 2022-08-30 19:31 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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