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『地獄』(1979)

生形雲平の妻ミホは、雲平の兄竜造との不倫の子を宿すが、雲平や竜造の妻シマに追い詰められ、竜造は殺害され、ミホもまた娘を産み落として死ぬ。
それから20年後、生形幸男は旅先でアキという美しい娘と知り合い家に連れてくるのだが、アキの顔を見た幸男の母であるシマも雲平も驚愕する。
実はアキは施設で育てられたミホの忘れ形見で、二人は瓜二つだったからだ。
実の兄妹と知らず愛し合う幸男とアキだったが、幸男の兄松男もまたアキに惹かれていた。
更にアキの身代わりとして育てられた久美も、兄として接してきた幸男への秘めた想いを燃え上がらせていた。

『地獄』(1979)_e0033570_20572375.jpg78年の「宇宙からのメッセージ」に続く東映の特撮超大作として期待していた作品で、出演は原田美枝子、林隆三、田中邦衛、栗田ひろみ、石橋蓮司、西田健、佐藤友美、加藤嘉、浜村純、天本英世、金子信雄、岸田今日子ら豪華な顔触れが並ぶ。
監督は神代辰巳で、主題歌は山崎ハコ。
しかし宣材などから18禁映画だと勘違いした親にストップされ、結局映画館へは行けなかったという悔しい思いをした作品でもある。

キャッチコピーは「堕ちる前に見ておけ。」
そんな作品をようやく見たのだが、うーん、なんだこれ。
当時コミカライズ作品を読んでいたのでストーリーは大まかには知ってはいたのだが、出てくる登場人物が一人として真面じゃないのでお話を追いかけるのが苦痛になるし、肝心の地獄絵図もパッとしないし、何なら楽しみにしていたエロティックな場面も大した分量ではなかった。

撮影当時19歳くらいだった原田美枝子の脱ぎっぷりは悪くないし、同じく20歳くらいだったアイドル女優の栗田ひろみも脱いではくれるのだが、画面が暗い上にアメラアングルも今一つ。
それにセットも特撮もみんなチープなのだ(特撮監督は矢島信男)。
濃い俳優さんたちの濃い演技は見どころではあるのだが、はたしてあの頃見に行っていたら感激しただろうか。
それともやはりガッカリしたんだろうか。

ところで作中で描かれるヒロインの地獄行きの罪だが、母親の方は不倫、娘の方は近親相姦(間接的に殺人に関与はしているが)。
他に殺人や殺人未遂、強姦などの罪を犯した者が何人か出てくる。
それを考えるとそんなに重い罪ではなさそうに感じてしまうのだが、それだけ出てくるのがクズばっかりだということなのだろうな。


by odin2099 | 2022-09-03 21:01 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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