アニメ誌の若手ライターである女性が、取材中に内海賢二の存在を知り、自ら企画をまとめ声優仲間への取材を敢行する、という形で進行するドキュメンタリー映画で、証言者として登場するのは逢田梨香子、伊藤昌弘、内海賢太郎、勝杏里、かないみか、
神谷明、
柴田秀勝、杉山里穂、谷山紀章、
戸田恵子、浪川大輔、
野沢雅子、
野村道子、
羽佐間道夫、水樹奈々、三間雅文、山寺宏一、和氣あず未の諸氏。
アニメ黎明期からの声優の立場の変遷を交えながら、内海賢二の為人を浮き彫りにしていくという内容で、異口同音に語られるのが「太陽のような人」、「凄く優しい人」といった言葉で、豪放磊落なキャラクターを演じつつも本人は繊細で、周囲に気配りの出来る人だったようだ。
改めて内海賢二という声優、俳優の素晴らしさを教えられた次第だが、一つ気になったのはセミドキュメンタリー風の構成。
進行役となる女性ライターや編集長(?)、カメラマンらは俳優が演じているようで再現ドラマまで挿入されているのだが、そうなるとせっかくのインタビュー部分も「台本が用意されていたのかも?」と白けてしまう。
特に最後は、生前の内海賢二を知らない女性ライターが、数々のインタビューを通じてその人間性に触れ、取材中に涙ぐんでしまうという場面があるのだが、これが彼女の純粋な気持ちから出ているなら感動的な締めくくりになるものの、もし演出だったとしたならと考えると興ざめである。
何故普通のドキュメンタリー映画として作らなかったのだろう?
内容が良かっただけに非常に残念だ。
というより、むしろ憤りを感じてしまう。