『湖のランスロ』(1974)
2022年 11月 16日

そんな二人をゴヴァンは心配していた。
一方アルテュス王に取って代わろうという野心を持つモルドレッドは、この二人の不義を利用しようとし、騎士たちの間に暗雲が垂れ込める。
城の全体像が銀幕に描き出されることはなく一室や天幕のみで、馬上槍試合の場面でも馬の脚と甲冑が擦れ合う音のみ。
必要最小限のセットや小道具のみではあり、演じている俳優も素人ばかりだという。
あっけなく殺される騎士たち、無残な死体、吹き出る鮮血…
それでも落日の王国の描写としては妙なリアリティがあった。
だが、見ていて誰が誰やらわからぬ円卓の騎士たちや、ゴヴァン(ガウェイン)をはじめとする彼らがどういう気持ちでアルテュス(アーサー)やランスロ(ランスロット)に対しているのかがわかりづらく、その最後もあまりにあっけない。
万人の感情移入を妨げているかのような作風に、ちょっと付いていけない部分を感じた。