『ウィロー』
2022年 11月 19日

その探索の手をすり抜けて川に流され難を逃れるという件もそっくり。
ただこの手のドラマだと、生き延びた子供が成長して復権・復讐を果たすというのが一つのパターンだが、赤子は最後まで赤子のまま、というのは貴種流離譚としては珍しい。
代わって中心になるのがウィローなのだが、これまた選ばれし者としては異端。
魔法使いに憧れる少年が成長して、というのではなく、魔法使い志願ではあるものの彼はれっきとした妻帯者なのだ。
ある程度年齢がいった者の成長を描くというのもパターン破りと言えそう。
しかもこのウィロー、素質はあるとされているもののなかなか片鱗は見せずに失敗ばかり。
最後の最後にようやく悪の女王を倒すことにはなるのだが、自分の力でやったというより他人の助けを借りて、いやより正確に言えば自分が他人の手助けをした程度の貢献度なのだ。
ラストシーンでは偉大な魔法使い扱いされるものの、はたしてこの先ちゃんとやっていけるのかが不安になるレベル。
勝利に貢献したというならソーシャの方がポイントは高い。
悪の女王バブモルダの娘なのだが、何故か惚れ薬を飲んだマッドマーディガンに口説かれ、いつの間にかその気になって母親を裏切ることに。
ただポイントは高くとも、この裏切り行為に説得力が全くないのが問題。
序盤にバブモルダは、「娘は将来裏切る」と予言されながらも一笑に付すというわかりやすいフラグを立てているのだが、ソーシャが途中で母親の行動に疑問を感じるとかそういう場面がないので、純情な乙女なのか尻軽女なのかは置いておくとして、何の葛藤もなかったのかと疑問符の嵐だ。
指揮官である彼女に付き従っていた兵士たちも堪ったもんじゃないだろう。
そんなこんなで幕を閉じた『ウィロー』、第二幕はどんな冒険を繰り広げることやら。
<過去記事>
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