『未知との遭遇<オリジナル劇場版>』
2023年 01月 05日
共に『2001年宇宙の旅』から生まれた子供たち、と評する声もSF映画ブーム勃興時にはよく聞かれた。
今回は3バージョンある内、やはり最初に公開されたものを選択した。
『スター・ウォーズ』に比べると、この作品が後の作品に与えた影響は顕著ではないかもしれない。
宇宙人と遭遇する実録タッチのものやホラーテイストのものは結構作られたはずだが(「エリア51」を題材にしたものも幾つかある)、正面切ってファーストコンタクトを描いた作品となると、やはり大掛かりな予算が必要になるからだろうが『ミッション・トゥ・マーズ』や『コンタクト』など数が限られてくる。
むしろ後日談的な性格を持つ『E.T.』に直接インスパイアされた作品の方が多いだろう。
だが、大ウソをつくためにディティールに拘り、リアリティを高めていくという手法や、光(特に夜間や暗闇のシーンでの)の使い方は、知らず知らずのうちに取り入れている作品が少なくないように思うし、前述の『E.T.』や一種の変形的リメイクとも呼べる『ポルターガイスト』にもこの手法はしっかりと引き継がれた。
ただ、超存在からのメッセージを受けとった主人公たち(ある者はビジュアルとして受け取り、ある者はサウンドとして受け取るなど多彩)が、すぐ目の前に答えがありそうなのにたどり着けず、それを他人に伝えることも自分を納得させることも叶わないもどかしさを感じ続けているのだが、終盤にその”なにか”の象徴的存在であるデビルズタワーを画面にバーンと映すだけで、見てる側に有無を言わせない説得力を発揮する演出力はそう簡単に受け継げるものではなかったようで、類似の例は寡聞にして知らない。
余談だが、『さらば宇宙戦艦ヤマト』もこの作品の影響下にあると言っても良い。
プロデューサーサイドは「宇宙愛」というテーマが共通しているという趣旨の発言を当時していたが、これは未だによくわからない。
この作品に登場する宇宙人は必ずしも友好的とは言いかねるし、これと宇宙における無償の愛を唱えるテレサとをまさか同一視しているのだろうか。
それよりも直接的に共通しているのは、『さらば』冒頭の白色彗星の出現シークエンスが、本作冒頭の砂嵐の中の光(UFOのものかと思わせるが、実は車のヘッドライト)が近づき音楽がクレッシェンドしていく場面に酷似してる。
更にその後の新造戦艦アンドロメダがテスト航海から帰還する場面で、アンドロメダの姿を直接見せずに夜空に溶け込んだシルエットの中で光る航海灯だけで表現する場面が、本作のクライマックスでマザーシップが出現するシーンを明らかにトレースしているようなのだが、この点を指摘する文章にはこれまでお目にかかったことがない
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/7607178/
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