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『スーパーマン<劇場版>』

『スーパーマン<劇場版>』_e0033570_124566.jpg77年に相次いで公開された『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』、これに続くのは翌年公開の『スーパーマン』だ。

これら三作品に共通しているのは、何れも音楽担当がジョン・ウィリアムズだということ。
ルーカスはスピルバーグから推薦されて起用したはずだが、『ポセイドン・アドベンチャー』、『タワーリング・インフェルノ』、『大地震』、『ジョーズ』などでスケールの大きな作品を書ける作曲家として認識されていた、ということだろうか。
ちなみにこの作品にもバリエーションが幾つか存在するが、今回も最初にお披露目された<劇場版>を選んだ。

『スター・ウォーズ』と『未知との遭遇』には革新的な特撮技術が使われ、文字通り「見たことがない」映像を生み出していたが、この『スーパーマン』によって付け加えられた新たな要素はいわば”風格”。
大作映画の顔としての側面ではないだろうか。

主人公のクラーク・ケント=スーパーマンこそ無名の新人俳優を抜擢しているが、スーパーマンの父親にマーロン・ブランド、スーパーマンの宿敵にジーン・ハックマンと脇には”スター俳優”を起用している。

『スター・ウォーズ』にもアレック・ギネスやピーター・カッシング、『未知との遭遇』にはフランソワ・トリュフォーといった名優がキャスティングされてはいるが、客の呼べる”スター俳優”かといえば少し違う。
この『スーパーマン』によってSF映画とは、金を掛けて大物俳優を呼ぶ”超大作映画”なのだという認識が生まれたように思う。
同じようにゲテモノ映画扱いされていたディザスター映画が、『大空港』、『ポセイドン・アドベンチャー』、『タワーリング・インフェルノ』などでオールスターキャストの大作映画としての”格”を手に入れたように。

また『スター・ウォーズ』はヒーロー物であってもオリジナルストーリーだし、『未知との遭遇』はリアリティ重視のノン・ヒーロー物だが、この『スーパーマン』は誰もが知る超有名キャラクター。
ヒットは約束されたようなものではある一方で、下手に作れば大バッシングを受けることも当然予想され得る。
かなりリスクの高い企画でありながら奇を衒うことなく、攻法で作り上げたのも勝因だろう。

子供向けの企画であろうとも照れずに、小手先ではなく正面から堂々と。
この作品の成功が、その後のSF映画の流れというか作り手の意識づくりを変えた、あるいは後押しした面はかなり大きいのではないかと思う。

<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/2923872/
https://odin2099.exblog.jp/23934184/
https://odin2099.exblog.jp/27366804/
https://odin2099.exblog.jp/29267633/


by odin2099 | 2023-01-06 20:32 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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