
医者になりたかったが、父と同じトランペット奏者の道を歩まされ、苦労して音楽を学び、不本意ながら映画音楽に携わることになり、数多くの作品を手掛け、誰もが認める第一人者となったエンニオ・モリコーネ。
その素顔や仕事ぶりを生前の本人自らが語り、また彼と一緒に仕事をしたミュージシャン、映画監督、映画音楽家、あるいは彼を敬愛するアーティストたちの膨大なインタビューに、彼が手掛けた代表的な映画のフッテージも交えて構成したドキュメンタリー映画で、監督はジュゼッペ・トルナトーレ。
『ニューシネマ・パラダイス』や『海の上のピアニスト』などで組んだ、モリコーネ自身からのご指名だったそうだ。
インタビューに登場するのは個人も含め、セルジオ・レオーネ、ベルナルド・ベルトルッチ、ジョン・ウィリアムズ、ハンス・ジマー、ピエル・パオロ・パゾリーニ、テレンス・マリック、クリント・イーストウッド、クエンティン・タランティーノ、ダリオ・アルジェント、ジャンニ・モランディ、ブルース・スプリングスティーン、クインシー・ジョーンズetcetc…
上映時間は2時間半を超える超大作になっている。
セルジオ・レオーネとは小学生の時の同級生だった、などという逸話も楽しい。

以前
『すばらしき映画音楽たち』という、ハリウッドの第一線で活躍する作曲家たちを取り上げたドキュメンタリーを見ているが、一人の作曲家とトコトン向き合った映画はそうはないと思う。
これを機に、他の多くの優れた作曲家たちにスポットが当たれば良いなと思う。
それにしても今回見ていて気付いたのは、自分はモリコーネが担当した映画を殆ど見ていないということだった。
しかし前向きに考えるなら、それ即ちこれから多くの素晴らしい作品に出会える可能性が高いということでもある。
音楽家で映画を選んだって良いじゃないか。