人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』(2012)

1882年に着工し、未だに完成していない世界遺産サグラダ・ファミリア。
カメラはその工事現場に入り、関係者へのインタビューを敢行し、その裏側(というか内側)に迫るというドキュメンタリー映画だ。

『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』(2012)_e0033570_20300880.jpgサグラダ・ファミリアといえばアントニ・ガウディ、というくらいは知ってたが、実は二代目だったということは初めて知った。
初代建築家フランシスコ・ビリャールは依頼主と対立して僅か一年で退任、その後を弱冠31歳で継いだのがガウディで、以後40年以上も建築に携わり、死後は地下に埋葬されているそうである。

資金が不足したり、反対運動が起こったり、スペイン内戦によってスケッチや模型が失われたりとプロジェクトは難航を極め、永遠に未完なのではと言われてきたが、近年は技術の進歩もあって作業も急ピッチで進行しているようだ。

この映画が公開された頃は、ガウディ没後100年にあたる2026年に完成と発表されていたはずだが、ご多分に漏れずスペインでも新型コロナウィルス感染症が流行したお陰で工事も中断を余儀なくされ、更に観光客の足が遠のいた関係でチケット収入も激減。
完成は遅れる見込みらしい。

この建物は教会なので関係者の口からは神に対する言葉が随所に出てくるが、その一方で実際に建築に携わっている人たちにとっては、ガウディそのものが”神”なのではないかと感じた。
教会としての意義は二の次、とは言い過ぎかもしれないが、その人たちにとってはガウディがどう考えていたか、ガウディならどうするかが大命題。
つまりガウディのビジョンを如何に現世に表出せしめるかが全てで、それこそが自分たちの行動のモチベーションなのだろう。

となれば正解がない以上、この建物は永遠に完成しない。
そう宿命づけられたものだと言えそうだ。

【ひとこと】
全体を取り仕切っている主任彫刻家が日本人だというのも今回初耳だった。


by odin2099 | 2023-01-30 20:31 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


by Excalibur