『少女は卒業しない』（2023）

中学から片想いを続けている杏子。

進路の違いで恋人と気まずい関係になってしまった由貴。

教師に秘めた想いを抱いている詩織。
そして答辞を読むことになったまなみ。
廃校が決まり、最後の卒業式を明日に控えたとある高校での、それぞれの伝えられない想いを抱えた少女たちの物語。

原作は朝井リョウの連作短編集。
脚本・監督は中川駿、出演は河合優実、小野莉奈、小宮山莉渚、中井友望、窪塚愛流、佐藤緋美、宇佐卓真、藤原季節ら。

評判を聞いて見に行ったのだが、甘酸っぱい青春の香りが漂う物語だった。
現役世代なら共感したり身につまされたりするだろうし、こっちとらノスタルジイに十分浸ってしまった。
たった二日間の出来事なのだが、その中で彼女たちがどう変わり、どのような選択をしたのかが見どころである。
また若干のミステリー仕立てにもなっており、そのからくりに気付いたときには新たな感動に包まれる。

ちなみにこの４人は同じクラスなのだが、４人が一緒にいて会話するようなシーンはない。
その為に４人のエピソードがバラバラで、一本の映画としてのまとまり感にやや欠けるのが難点。
これなら一つ一つ独立したエピソードとして作り、オムニバス形式にした方が映画としては見やすくなったかも知れない。
４人全員が一堂に会さずとも、もう少し個々での接点を描いて欲しかった。

それが少々残念である。