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『丘の上の本屋さん』(2021)

『丘の上の本屋さん』(2021)_e0033570_21375443.jpg丘の上にある小さな古書店には、今日も様々な客が訪れる。
隣のカフェで働く気のいい青年、主人に頼まれフォトコミックを探す家政婦、自書を探す教授、ゴミ箱を漁っては見つけた本を持ち込む男、初版本のコレクター、SM趣味の女性に発禁本を探す神父…。
ある日店先の本を眺める移民の少年エシエンに声を掛けた店主のリベロは、買うお金がないという彼にコミックを貸し出す。
好奇心旺盛な彼はたちまち読破し、リベロは少年に次々と本を貸し与えていく。
そしてエシエンの感想を聞きながらリベロは、色々な知識や物の見方、考え方を伝えていき、二人は年齢や国籍を超えた友情を培っていく。

風光明媚なイタリアの街並みが美しい。
そして古書店を訪れる個性豊かな、風変わりな客とのやり取りも楽しいイタリア映画。
監督はクラウディオ・ロッシ・マッシミ、出演はレモ・ジローネ、コッラード・フォルトゥーナ、ディディー・ローレンツ・チュンブ、モーニ・オヴァディア。

リベロがエシエンに与える本は『ミッキーマウス』に始まり、『ピノッキオの冒険』、『イソップ寓話集』、『星の王子さま』、『白鯨』、『密林の医師』、『アンクル・トムの小屋』、『白い牙』、『ロビンソン・クルーソー』、『ドン・キホーテ』、そして『世界人権宣言』。

やや説教臭い部分があることと、結末が途中で読めてしまう点にやや物足りなさを感じはするが、こんなお店でこんな人に出会いたかったな、というのが見終わっての率直な感想だ。
あるいは自分が歳を重ねた時に、誰かに想いを託せるような人物になりたい、というか。

ただ映画を見ていて一つだけ疑問に感じたのは、劇中で度々引用されるとある人物の日記の一節。
これがどういう意味を持つのか、リベロやエシエンとどのような関係があるのかがどうしてもわからなかった。
再三言及されるので重要な存在なのだろうが、このエピソードが浮いているように感じるし、続きも気になってしまう。


by odin2099 | 2023-03-08 21:39 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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