舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』
2023年 03月 17日

ハリーは孤児の為に父親として子にどう接して良いかがわからず、アルバスも父が偉大な魔法使いというプレッシャーに押しつぶされそうになる。
またそんなアルバスと出会い無二の親友となるのが、ドラコの息子スコーピウス・マルフォイ。
だが彼もまた、実はヴォルテモートの息子なのではと噂されるなど苦悩を抱えていた。
この二人が逆転時計(タイムターナー)を使い過去を改変したことで、未来が大きく変わってしまう。
ハリーが死にアルバスが生まれない世界や、セドリックが闇落ちして死喰い人(デスイーター)になっている世界、ヴォルデモートが君臨している世界etcetc……昨今流行りのマルチバース的な展開となるのだが、これによってメインキャラの未来の姿だけでなく、ダンブルドアやスネイプ、セドリックといった既に退場してしまった過去のキャラクターたちも作品に顔を見せてくれる。
そんな中でハリーとアルバス、ドラコとスコーピウスという不器用な父子と、ロンやハーマイオニー、ジニーら仲間たちが何とか世界を元通りにしようと奮闘するというのが大まかな流れだ。
また新たに登場するキャラクターの中には意外な出自を持つ者もいるのだが、それは見てのお楽しみとしておこう。
休憩時間20分を含めてるとはいえ3時間50分という上演時間はやはり長いし、映画とは別物なので致し方ないものの「ヘドウィグのテーマ」が流れないと<ハリー・ポッター>気分に浸れないし(最寄りの赤坂駅からの通路では繰り返し流れていた)、早口で捲し立てオーバーアクト気味の俳優陣は台詞が聴き取り辛い上に煩く感じる場面も多々あるし、過去作からの引用(焼き直し)が多くて結局のところ新しい要素は殆どない上に、息子や周囲に対して当たり散らすハリー像には些か幻滅を覚えたりもしたのだが、とにかく<ハリー・ポッター>の”次”のお話が見たい、というニーズには応えてくれるものにはなっている。
また客席の頭上をディメンターが乱舞したり、場内をヴォルデモートが徘徊したり、舞台装置を駆使して目の前で魔法を再現して見せたりの工夫も楽しい。
鑑賞料金は決して安くはないが、気になっているのであれば一度見ておいた方が良いだろう。
日本公演版初演のキャストは
ハリー・ポッター(藤原竜也/石丸幹二/向井理)
ハーマイオニー・グレンジャー(中別府葵/早霧せいな)
ロン・ウィーズリー(エハラマサヒロ/竪山隼太)
ドラコ・マルフォイ(松田慎也/宮尾俊太郎)
ジニー・ポッター(馬渕英里何/白羽ゆり)
アルバス・セブルス・ポッター(藤田悠/福山康平)
スコーピウス・マルフォイ(門田宗大/斉藤莉生/渡邉聖斗)
嘆きのマートル/ポリー・チャップマン/リリー・ポッター・シニア(美山加恋)
ローズ・グレンジャー=ウィーズリー/子供のハーマイオニー(橋本菜摘)
デルフィーニ・ディゴリー(宝意紗友莉/岩田華怜)
組分け帽子/ベイン(木場允視)
エイモス・ディゴリー/アルバス・ダンブルドア/セブルス・スネイプ(福井貴一)
ミネルバ・マクゴナガル/ドローレス・アンブリッジ(榊原郁恵/高橋ひとみ)
ジェームズ・ポッター・シニア/セドリック・ディゴリー/ジェームズ・シリウス・ポッター(千葉一磨)
カール・ジェンキンズ/ビクトール・クラム(小松季輝)
マダム・フーチ(前東美菜子)
クレイグ・バウカーJr.(岡部雄馬)
ヴォルデモート卿(篠原正志)
ヤン・フレドリックス(渡邉聖斗/佐藤雄大)
車内販売魔女(薬丸夏子)
ルード・バグマンの声(吉田鋼太郎)
という顔触れ(太字が自分が鑑賞した回のキャスト)。
<ファンタスティック・ビースト>シリーズ完結後にこの作品が映画化されるのでは?との噂があったが、ローリングはこれを否定し、ダニエル・ラドクリフらも役とは距離を取りたい意向のよう。
当時のメンバーが再び集まるから意義があるのであって、キャストが総入れ替えならば受けないとは思うが、あれから大元のワーナーが体制を一新し、<ファンタビ>シリーズが頓挫しそうな現在となってはひょっとするとひょっとするのかもしれない。
【ひとりごと】
マートルの喋り方(声も)は吹替版の坂本千夏にソックリ。
またアンブリッジの喋り方も本家にソックリ。