『シン・仮面ライダー』(2023)
2023年 03月 20日
『シン・ゴジラ』、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、『シン・ウルトラマン』に続く東宝・カラー・円谷プロ・東映の4社が立ち上げた<シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース>のこれが第4弾で、<仮面ライダー生誕50周年企画作品>。
予告編を見た段階で「これは自分に合いそうもないな」と思ったのだが、出来上がった作品は案の定自分の好みとはかけ離れた作品だった。

かといってテレビシリーズのリメイクでもない。
幾つかのカットやショット、シーンはオマージュを捧げている部分があるものの、ストーリーそのものは完全オリジナルだ。
また他の石ノ森作品である『人造人間キカイダー』や『ロボット刑事』からの引用もある。
お馴染み「レッツゴー!ライダーキック」をはじめ何曲か菊池俊輔の作曲したBGMは使われているし、エンドロールでは主題歌の他に「ロンリー仮面ライダー」や「かえってくるライダー」を流すなどのリスペクトは感じられるものの、現代的にアップデートされた画面にはせっかくのオリジナルBGMも合わない。
これは『シン・ウルトラマン』でも感じた居心地の悪さだ。
嬉々として怪人を演じる長澤まさみの怪演や、三度”政府の男”として登場してくる竹野内豊、その片腕的存在の斎藤工の胡散臭さは良いとしても(役名が”立花”に”滝”!)、主役3人の驚くべき棒読み台詞の棒立ち演技には唖然となった。
またダブルライダーに主役としての存在感も無ければ華もない。
ショッカーに組織としての統一感がなく、単に小集団が乱立しているようにしか見えないので恐怖感を覚えないし、そのため緑川博士やルリ子がどんな決意でショッカーを脱走してきたのかも伝わらない。
異形の姿に改造された割に本郷猛はあっさりとそれを受け入れるし、一文字隼人も過去を暈されたので薄っぺらい人物像と化している。
今後「仮面ライダー」が映像化される際にはこの作品が一つのスタンダードになるかもしれないが、これはある意味で突然変異体に近く、最大公約数的に求められている「仮面ライダー」の姿ではないだろう。
最後は新調?リペイント?されたマスクを片手に、ラインが2本になった新コスチュームを身に纏った一文字隼人の姿で終わるが、はたして続編の構想はあるのだろうか。