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『メグレと若い女の死』 ジョルジュ・シムノン

『メグレと若い女の死』 ジョルジュ・シムノン_e0033570_15010049.jpg真夜中のパリで発見された若い女性の他殺体。
捜査に乗り出したメグレは、事件が複雑なものになると直感する。
やがて彼女の身元が少しずつ明らかになり、彼女と関わりがある人物も次々と浮かび上がり、メグレは被害者女性の人生をなぞっていく。

初めて読む<メグレ警視>シリーズ。
犯人は誰かではなく、被害者は誰かという観点から推理を進めて行くのは面白い。
最初は名前すらわからなかったのが、事件に遭遇するまでどこで暮らし、どんな人と関係があったのかが次第に浮き彫りになり、遂には死の直前までどこで何をしていたかにまで辿り着く。
それも地道な足での捜査によってだ。

結果、最後の最後に犯人が判って事件は解決するのだが、物語の主眼は犯人がどんな人物で、殺害に至る動機はなんだったのか、といった点には置かれていない。
あくまで被害者女性がどんな人生を送って来たかを解き明かす、という点にある。

こういうのも推理小説には違いないのだろうが、一般的なミステリー・サスペンス物としてはかなり異色と言える。
ホームズやポワロなどの名探偵モノのように犯人をひたすら追い続け、最後に「この人物でした」と高らかに宣言するようなタイプの物語を好む人には向きそうもない。
by odin2099 | 2023-03-21 15:02 | | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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