映画『シン・仮面ライダー』公開に合わせて企画されたと思しい、オリジナル『仮面ライダー』の制作秘話。
『仮面ライダー』の企画の変遷、当時の東映の状況、何故大泉ではなく他のスタジオで製作せざるを得なかったのか、そして生田のスタジオに集められたスタッフはどんな連中だったのかを、スタジオ所長の内田有作を中心に当時の撮影スタッフや大野剣友会の岡田勝、講談社の編集者やカメラマン、それに庵野秀明監督などの証言、コメントを集めて点描しようと試みた一冊である。
著者はあの
『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』を上梓したコンビで、前掲書以上にかなり突っ込んだヤバイ話が満載。
当時のスタッフといってもプロデューサーや監督、脚本家、出演者といった日の当たる人々ではなく、どちらかというと日陰を歩んできた文字通りの裏方ばかりなので、明らかにされる赤裸々な現場での様子は熱心なファンほどショッキングだろう。
ただ、本書が執筆されたのは『シン・仮面ライダー』製作中のこと。
映画が完成して公開され、観客の反応が明らかになってきた今読むと、書かれた当時の著者や庵野監督のスタンスと、その結果とのギャップというか温度差の違いが気になってはくる。
これは感覚的なものだから、上手く伝わらないとは思うのだが。