舞台『ホロー荘の殺人』
2023年 05月 09日

アガサ・クリスティーの戯曲を小田島雄志と小田島恒志が翻訳し、演出・構成は野坂実。
出演はヘンリエッタ・アンカテル/凰稀かなめ、ガーダ・クリストゥ/紅ゆずる、エドワード・アンカテル/林翔太、ミッジ・ハーヴェイ/高柳明音、ルーシー・アンカテル令夫人/旺なつき、ヴェロニカ・クレイ/綾凰華、ガジョン/佐々木梅治、ジョン・クリストゥ医師/河相我聞、コフーン警部/細見大輔、ペニー刑事/松村優、ヘンリー・アンカテル/中尾隆聖、マダム/長沢美樹(声)で三越劇場にて観劇。
宝塚OGの名前がズラリと並んでいる。
ガーダはジョンに従順な妻だったが、ジョンはヘンリエッタと愛人関係にあり、エドワードはヘンリエッタに、ミッチはエドワードに片想い。
ルーシーはエドワードとヘンリエッタに結ばれて欲しいと思い、その為にはジョンの存在が邪魔。
またヴェロニカはかつてジョンの婚約者だったことがあり、今はジョンに復縁を迫っていた、という複雑な人間関係がポイントで、動機を持つ人物は多い上にアリバイのある人物が少ないことが余計に事態を複雑にさせている。
警察が真相を披露する前に真犯人が自分の心情を吐露してしまうため、謎解きの妙味は薄れているが、そもそも犯人が誰なのかという興味ではなく、何故その人物が行動を起こすに至ったのか(そしてどの程度”知って”いたのか)や、それに気付いたであろう周囲の人々は何故そのような反応を示したのか、という部分を”読む”作品なので、俳優陣の演技合戦を堪能すれば宜しい。
実は原作の『ホロー荘の殺人』は以前読んでいて、その映画化作品である『華麗なるアリバイ』も見ているのだが、なにせ10年以上前のことなので細部はすっかり忘れていたのだが、むしろ新鮮な気持ちで最後まで楽しめた。
ちなみに小説の『ホロー荘の殺人』には名探偵ポワロが登場するが、戯曲版やそれを元にした映画版はポワロの出番を割愛したのでまた違った雰囲気になっている。
【ひとりごと】