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『新世紀エヴァンゲリオン』#6

第拾九話「男の戰い」、第弐拾話「心のかたち 人のかたち」、第弐拾壱話「ネルフ、誕生」、第弐拾弐話「せめて、人間らしく」、第弐拾参話「」、第弐拾四話「最後のシ者」を一気に鑑賞。

『エヴァンゲリオン』を楽しく見ていられるのは、やはり1クール目くらいまでだなあ。
2クール目に入ると、途端に暗く重たくなってくる。

『新世紀エヴァンゲリオン』#6_e0033570_19214256.jpg友人を自らの手で殺しかけたシンジ。シンジにもレイにも後れを取り、自分の存在価値を見失ったアスカ。
これまで他人との接触を拒絶していたのに、シンジにだけは特別な想いを抱き始めたレイ。
これにリツコが抱える秘密、加持が抱える秘密、ミサトが抱える秘密が絡んでくる。

そんな中では、やれゼーレがどーの、NERVがこーの、というのは些細な問題に思えてくる。
謎解きもようやく核心に近づいたかに見えたが、見事に肩透かし。
人類補完計画も、使徒の正体や目的も、死海文書やロンギヌスの槍も何が何やらサッパリだ。

そして最後に登場する渚カヲル。
全てを知っているようで、その全てを解説してくれる存在かと期待していると、こちらも思わせぶりな台詞を吐いて退場。
アダムの存在も、アダムから作り出されしエヴァの謎も明かされることはない。
カヲルはアダムを見て「アダムではなくリリス」と呼んだが、その意味の説明もない。
逆に、劇中で語られなかった分ファンが謎解きに熱中し、自分なりの考察を試み、それこそ”補完”に躍起になったことが社会現象化したのだろう。

『宇宙戦艦ヤマト』も『機動戦士ガンダム』も打ち切りによって、その語られなかった物語を埋めようというファンのパワーが作品に命を吹き込んだ。
『エヴァンゲリオン』は打ち切り作品ではないものの、似たような状況を演出したことでファンの飢餓状態を生み出し、今日まで続く作品へと昇華せしめた。
そう考えられないだろうか。


by odin2099 | 2023-05-14 19:32 | テレビ | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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