舞台『エヴァンゲリオン ビヨンド』
2023年 05月 25日

指揮を執るのは幼い頃の隕石事件で家族を失い、使徒を憎む霧生イオリで、エヴァンゲリオンのパイロットには、サネユキの息子トウマもいた。
だがある日の戦いで、トウマは戦線を離脱。
同じパイロット仲間である光条・ヒナタ・ラファイエット、秋津希エリ、羽純ナヲの前に現れると「僕らがやってることのすべては嘘の上に成り立っている」と言い残し、忽然と姿を消すのだった。
トウマの生死がわからず動揺する彼らの前に、かつてのイオリの恋人渡守ソウシが現れる。
パイロットたちを気遣うソウシは何を知っているのか。
そしてソウシと再会したことで、イオリはこれまで自分たちのしてきたことへの疑問が沸き起こる。
原案・構成・演出・振付シディ・ラルビ・シェルカウイ、舞台版構成台本ノゾエ征爾、上演脚本渡部亮平、出演は窪田正孝、石橋静河、板垣瑞生、永田崇人、坂ノ上茜、村田寛奈、宮下今日子、田中哲司。
舞台で『エヴァンゲリオン』をやるということで興味を持ち、東急歌舞伎町タワーにオープンした新劇場「THEATER MILANO-Za」のこけら落とし公演を鑑賞。
設定もキャラクターの名称も全て異なるが、物語はアニメ版のリメイクといった按配で、知っている人ならこのキャラがシンジで、これがミサト、これがアスカで、これがゲンドウ…という具合に当てはめることが出来るだろう。
ご丁寧にとあるキャラには「あんたバカぁ?」とまで言わせてるくらいなのだから。
ただ『エヴァ』のアイコンである綾波レイに相当するキャラクターはいない(設定的には”マユ”がそれに該当するのだろうが)。
また主人公のソウジは、シンジであり、加持リョウジでもあるという立ち位置になる。
原作にあるゼーレのような組織は登場せず、メンシュではサネユキは絶対的な権限を持ち、人類補完計画とは異なるシナリオが用意され好き勝手やっている印象。
また原作におけるセカンドインパクトは人類が起こしたもので、その結果傷ついた地球自身が自らを護るために送り込んだのが使徒であるということが明らかにされる終盤以降は、何やら『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』のような自然讃歌が繰り広げられ、これは『エヴァ』ではなくジブリ作品が原作かと錯覚するほどだ。