『憧れを超えた侍たち/世界一への記録』(2023)
2023年 06月 07日
侍ジャパンのメンバーである西武ライオンズ・山川穂高選手に不祥事が発覚したために公開が危ぶまれたが、予定通りに封切られた。
もっとも今後の事件の進展如何によっては、予定より早めに終了する可能性もありそう。
極端な話、日本が戦った全7試合のダイジェストを見せるだけでも盛り上がれるほどだ。
栗山監督の就任記者会見に始まり、度重なる選手選考会議の内幕。
逸早くチームに合流したダルビッシュ。
チームを鼓舞し続けた大谷翔平。
ジャパンの切り込み隊長として、ムードメーカーとしても存在感を発揮し続けたヌートバー。
怪我の為に出場を辞退せざるを得なくなる鈴木誠也。
キャンプから壮行試合へとカメラは選手に密着し続ける。
そして本戦が始まった後も、試合前のミーティング、試合中のベンチ内やベンチ裏、ブルペンの様子も次々と映し出される。
打たれて憔悴し、悔し涙を流す佐々木朗希。
骨折しながらも試合出場を熱望する源田。
極度の不振にあえぐ村上。
そこには中継やこれまでの報道では伝えられなかった選手たちの素の、生の姿が切り取られている。
そしていよいよ歓喜の瞬間。
グランド上で喜びを爆発させる選手たち。
あまりスポーツにおいて「感動をありがとう」という言葉は使いたくないのだが、この瞬間だけは素直にそう思えた。
ところがこの映画は、感動のフィナーレでは終わらない。
ラストカットは大谷の「俺のグローブ、どこですか?」。
そう、トラウトを三振に切って取った瞬間、大谷は自分のグローブを投げ捨てたのだ。
綺麗にオチがついたところで映画は幕を下ろす。
出場した選手に満遍なくスポットが当たるということはない。
やはり活躍した選手が中心になるのは仕方がないところ。
ただ活躍の割に出番が少ないなと感じる選手もいたし、逆に思いの外コーチたちが取り上げられていたりで新たな発見もあった。
欲を言えばもう少し壮行試合も含めて各試合の展開を紹介して欲しかったところではあるのだが、130分という上映時間を考えれば妥当なところだろう。