『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(2023)
2023年 06月 20日
マルチバースを荒らしまわるヴィランを元の世界へ戻すのがその役目で、マイルスはエリート集団の存在に興味津々だが、グウェンの態度は素っ気無かった。
スポットの後を追ったグウェンに付いてマイルスは別次元へと飛んでしまい、そこで人々の苦境を助けるのだが、ミゲルに召喚されたマイルスはその行動を厳しく咎められ、更には危険分子として認定され全てのスパイダーマンから追われることになってしまう。
『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編で、前後編の前編。
知らずに見ている人は、最後に「つづく」と出るので驚くはずだ。
物語の比重はマイルスとグウェンが半々くらい。
いや、前作でバックボーンが殆ど描かれていない分、グウェンが主人公のように見える。
スパイダーマンの人生には幾つかのターニングポイントがある。
肉親や親しい警察官の死。
それを乗り越えてこそのスパイダーマンなのだが、マイルスは知らずにそれを変えてしまった。
しかも本来、マイルスはスパイダーマンになるべき存在ではなく、その世界には既にピーター・パーカーがいた。
別次元から来たクモにマイルスが噛まれ、なるべきではなかったスパイダーマンとなったことでピーターは死んだ。
今のマルチバースの混乱はマイルスのせいだ、というのである。
「スパイダーマンは愛する一人を救うか、他の大勢を救うか、そのどちらかだ」とのミゲルの言葉にマイルスは答える。
「両方救ってみせる!」
同時日公開となった『ザ・フラッシュ』では、変えようとしても絶対に変えられないポイントがある、としているのとは好対照だ。
そして混乱の最中、自分の世界へ戻ってきたと思ったマイルスが出会ったヴィラン、それは自分自身…。
グウェンは自分の運命と向き合う覚悟を決めたが、マイルスはどういう選択をするのか、物語はここで後編へと続く。
<MCU>とも<SSU>とも緩く繋がっているようで、トビー・マグワイヤの『スパイダーマン』からとアンドリュー・ガーフィールドの『アメイジング・スパイダーマン』からの引用があり、『スパイダーマン/ホーム・カミング』から実写版のアーロン叔父さん(新撮!)、それに『ヴェノム』からはコンビニ店員のチェン(未使用フッテージの流用だそう)までが登場してキャラクターたちと絡む。
またマルチバース混乱の原因はドクター・ストレンジにもあるらしく、これは『スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム』での事件を指しているのだろう。
期待された東映版スパイダーマンの参戦こそお預けになったが、後編での展開が益々楽しみだ。