『リトル・マーメイド』(2023)
2023年 06月 20日
自社アニメの実写化に精力的に取り組むディズニーとしては満を持して送るタイトルの筈だが、黒人のハリー・ベリーをアリエル役に起用したことで、色々と物議を醸してしまっている。
また新曲にはあまり馴染めなかったが、それでもアラン・メンケンの楽曲は素晴らしいし、海の世界はカラフルで、そこで暮らす海の生物たちはなかなかリアル。
ただそのせいで、セバスチャンやフランダーが少々浮いてしまっている。
もう少しアニメに寄せて擬人化しても良かったのではとも思うが、それはそれで匙加減がかなり難しそうだ。
問題はアリエル。
これは例え差別だと非難されようとも、このキャスティングには反対である。
人魚に人種はないから黒人でも問題ない、という意見も見られた。
そうではない。
これはディズニー・アニメ『リトル・マーメイド』の実写版なのだから、最低限オリジナルのイメージを保つ義務があると思うのだ。
アリエルの6人の姉たちの人種がバラバラなのもおかしな話だが(7人は異母姉妹ということか)、チョイ役ということもあって目を瞑ろう。
エリックが孤児で血の繋がりがないとすることで、母であるセリーナ女王にまで黒人を起用する必要があったかどうかも疑問だが、これも大目に見よう。
そしてハリー・ベリーを主演にして、新たな人魚の映画を作るのならば文句はない。
だがこれは『リトルマーメイド』なのである。
ドレッドヘアの黒人は断じてアリエルではない。
劇中歌の歌詞にも「アリエル=赤毛」と謳われているではないか。
魔女アースラが化けたヴァネッサを演じたジェシカ・アレクサンダーの評判が高い。
彼女がアリエルを演じるべきだったという声も多いらしいが、彼女自身はそういったネット上での反響は全てブロックしてると聞く。
確かにどちらかといえば彼女の方がアリエルのイメージには近い。
正直言ってハリー・ベリーよりも美人だ。
そもそもヴァネッサは、エリックを騙すためのアースラの変身だから、アリエルにそっくりでなければならない。
いわば偽アリエルがヴァネッサなのである。
ところが劇中に登場するアリエルとヴァネッサは似ても似つかない。
これでは魔法にかけられたとはいえ、エリックが間抜けすぎる。
そのエクスキューズのためか、助け出された際にエリックはアリエルの顔をハッキリと見てはいないように演出され、またヴァネッサに求婚した後も自分の行動が理解出来ていないように描かれている。
どうもポリティカル・コレクトネスやらLGBTやらを優先して、オリジナルであるアニメ版に対するリスペクトが足りないように感じてしまうのだが如何だろうか。
期待していた作品なだけに、作品の出来不出来とは違う次元でガッカリさせられたのは残念だ。
【ひとりごと】
これも有名税か?