ミュージカル『ノートルダムの鐘』
2023年 06月 20日
初演が2016年だから7年越し。
これで『美女と野獣』、『ライオンキング』、『アイーダ』、『リトルマーメイド』、『アラジン』、『アナと雪の女王』と、劇団四季が手掛けたディズニーミュージカルは一通り見たことになる。
これがカジモド。
つまりフロローとカジモドは伯父と甥の関係なのだ。
カジモドは容姿の醜さだけでなく吃音症で、おまけに耳も不自由(鐘の傍で暮らしているからか)。
エスメラルダとは一部手話で会話する場面があるほどだ。
そのエスメラルダは余所者なのか、同じジプシー仲間からも浮いた存在で、中心的人物として描かれていたアニメ版とこちらもかなり扱いが違う。
そのエスメラルダに、カジモドとフロロー、フィーバスは同時に一目惚れ。
そう、子供向けに毒気を薄めたアニメ版とは違い、こちらのフロローはエスメラルダに対する欲情を隠そうとはしない。
命を助ける代わりに自分のものになれ、とまで迫る。
ただアニメ版と違いフロローは、これを神が自分に与えた試練と受け止め苦悩する姿を見せる。
カジモドに対しても、救えなかった弟の姿を重ね、何とか更生させようと葛藤する場面も追加されているので、より人間味あふれる人物となり、アニメ版のような冷酷無比な極悪人とはされていない。
もっとも可愛さ余って憎さ百倍で、結局はエスメラルダに死刑を宣告することになるのだが。
そしてラストシーン。
ハッピーエンドで終わるアニメ版と決定的に違うのは、エスメラルダが命を落としてしまうこと。
処刑台から何とか救い出したカジモドだったが、その腕の中でエスメラルダは息を引き取る。
その直後にフロローが現れ、「これで全ては元通り、また仲良くやっていこう」と語りかけるのだが、怒りに任せたカジモドは塔の上からフロローを投げ落とす。
最後に後日談として、何年か後に寺院の地下から、しっかりと抱き合った男女の白骨死体が発見されたことが語られる。
男の死体は背骨が大きく変形しており、女から引き離そうとするとバラバラに崩れてしまったことも。
これでもユゴーの書いた原作よりはマイルドになっているはずだが、アニメ版同様の物語を期待したファンにはショックだろう。
アニメ版の歌曲も流れるとはいえ、聖歌隊を全面的に起用するなど、音楽演出含めてもはや別物。
とはいえアニメ版に思い入れがないので冷静に客観的に見られたのだが、アニメよりも対象年齢が高くなる舞台版としては、これくらいの改変があっても良いのでは、と感じた。
一曲歌い終わる度に大きな拍手。
そして終演後のカーテンコール、一体何度繰り返してくれたことやら。
5回?6回?