舞台『隠し砦の三悪人』
2023年 08月 12日
原作としてクレジットされているのは黒澤明、橋本忍、小国英雄、菊島隆三で、上演台本・演出は横内謙介。
出演は上川隆也、風間俊介、六角精児、小林由依、佐藤アツヒロ、宇梶剛士、高木トモユキ、平田裕一郎、岡宏明、北村由海、前田悠雅ら。
リメイク映画の『隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS』にはあんまり良い印象を持っていないので(と思って当時の感想を読み直したら、意外にも褒めていた…?!)、この舞台版は如何なものかと些か構えて見たのだが、リメイク版よりはオリジナル版にストーリーは近く、雪姫に付き従う秋月の家来や、対する山名家の当主や家来を直接出すことで物語を掘り下げ、メインのキャラクターたちがより際立つようになっていた。
上川隆也は真壁六郎太を演じるには少々線が細いかと懸念していたが、どうしてどうして堂々たる侍大将ぶりで、田所兵衛役の宇梶剛士との竹林での一対一の勝負も迫力十分。
今回が本格的な舞台初挑戦となる雪姫の櫻坂46・小林由依も、素人同然だったオリジナル版の上原美佐に匹敵する初々しさで舞台に華を添えている。
ただ又七と太平を膨らませようとすると、人間臭くなる反面、オリジナル版にあった愛嬌が薄れ、身勝手でどうしようもなく嫌なヤツに見えてしまうのは残念。
リメイク版では既に別人に置き換えられているが、むしろ彼らをサラっと流した方が娯楽作品としてのカタルシスは高まったように思うのだが、彼らは単なる狂言回しではなく実質的な”主役”だから扱いは難しいのだろう。
明治座の公演は明日まで。